自然の損失を止めて増やす経営に舵を切る――。世界目標「ネイチャーポジティブ」に向けて、企業の経営ががらりと変わり始めた。自然を大切にする社会・経済は2030年に47兆円の市場機会を生む。資源のリスクを減らし、増やす経営は、株価やPBRを上げ、企業価値を高める。ネイチャーポジティブの実現は、もはや環境の課題ではなく、中核の経営課題になった。生物多様性のビッグデータで新規ビジネスを始めるスタートアップも出現した。投資家は自然の取り組みに目を光らせ、有望企業への投融資を加速させている。時代のうねりをつくり出しているのは、欧州をはじめとする規制やルールだ。ネイチャーポジティブを進める先駆者たちが、企業価値向上に奮闘する。 <特集全体の目次> ・低PBRの水産業でニッスイが1倍超え 漁業と養殖で資源獲得を訴求 ・キリン、ブドウ畑で生物保全と炭素固定 ワインの価値向上狙う ・KDDIが藻を精密に測る水