Liイオン2次電池は,1990年代初頭に本格的に実用化してから20年弱の間に容量が急速に増加し,市場は急成長した。今後も,携帯機器をはじめ,電動車両やグリーン社会用蓄電池などへ用途を広げていくと考えられている。 実用化前の研究段階から長年にわたって開発に携わり,Liイオン2次電池の生みの親と言われる元ソニー 業務執行役員上席常務の西美緒氏に,現状と課題,今後の開発の方向性を聞いた。(聞き手は安保秀雄=編集委員) 問 Liイオン2次電池の用途は,どのように広がってきたのでしょうか。 西氏 1990年代の導入期には,家庭用ビデオ・カメラやMDプレーヤのようなAV機器を Liイオン2次電池の応用のターゲットにしていました。しかし,少量の生産量で十分対応でき,この電池が主流になるという予感はまったくありませんでした。 ところが,まもなくノート・パソコンがLiイオン2次電池を使い始め,それ以降急速に