肥料の原料などに使われるアンモニアを安価なニッケル触媒で効率的に合成する技術の開発に成功したと、細野秀雄・東京工業大栄誉教授らの研究グループが発表した。貴金属を使わずにアンモニアを生産する道を開く成果といい、16日付の英科学誌ネイチャーに論文が掲載される。 窒素と水素で作るアンモニアは、「ハーバー・ボッシュ法」と呼ばれる鉄触媒による大量生産が主流だが、高温高圧下でないと反応が進まない。このため、より温和な条件で反応を促進させる省エネの触媒開発が盛んだ。このタイプの触媒の多くは、高価なルテニウムという貴金属を使っており、これに代わる触媒開発が待たれていた。 細野教授らは、コストがルテニウムの10分の1以下のニッケルを、窒素とランタンの化合物(窒化ランタン)の板に載せた触媒を新たに開発。ニッケルの働きで水素、窒化ランタンの働きで窒素がそれぞれ活性化し、アンモニアが合成されることを確認した。従来