中国製部品の供給途絶は、マツダのグローバル生産網を根本から揺るがす。部品が届けられる先は、江蘇省南京市にある中国自動車大手の重慶長安汽車との合弁工場、吉林省長春市のマツダ車を委託生産する一汽乗用車の工場だけでなく、日本やタイ、メキシコも対象となっている。マツダに限らず、中国から世界へ部品を供給していた多くの日本のグローバル企業が苦しんだ。 まずやるべきことは、供給が途切れる恐れのある部品「レッドリスト」を調べることだった。同社の購買部門は、1次取引先が部品を仕入れる企業「ティア2」以降もたどれる情報システムを使い、1台あたり約3万点ある部品の中で、中国から調達できなくなりそうな品目、生産企業、拠点を数日で洗い出した。ランプ、シートの革や布の縫製品、ワイヤハーネスなど電装関連品……。さまざまな部品、部材が並んだ。 マツダのこのシステムは、危機管理を進化させてきた努力のたまものだ。2011年の