5カ月間なんと充電無料――。 中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)がタイで展開中の異例のキャンペーンが話題を呼んでいる。同社のタイ販売代理店が打ち出したのは、8月1日から2025年1月3日までの無料充電サービス。その背景には中国EV各社がタイで繰り広げている激しい値下げ合戦がある。 EV工場誘致を目指して、タイ政府が22年に振興策の「EV3.0」をスタートさせると、機敏に反応したのは中国系メーカーだった。このEV振興策は、将来のタイでの現地生産を約束すれば、生産に先立つ輸入車販売でも補助金の支給や輸入関税の引き下げといった支援が受けられる点が特徴。中国国内で抱える大量の在庫のはけ口を探していた中国EV各社にとっては渡りに船だった。 中国EVの進出は23年に本格化し、日本車のシェアが9割近かったタイ市場で、いきなり1割のシェアを獲得してみせた。24年現在は前年の2倍以上となる10社