POSデータは万能ではない 商品がずらりと並ぶ小売店の売り場で人工知能が活躍する――そう聞いてあなたはどんな光景を思い浮かべるだろう。スタッフの代わりにロボットが接客する姿だろうか。しかしここで紹介するのはロボットではなく、形をもたないシステムが売り場の問題点をあぶり出し、改善を促す事例である。 これまで正しく把握されていなかった来店者の属性や行動を収集・解析し、来店したのになぜ買わずに店を出たのか、その原因を把握するのに人工知能(AI)が活用されているという。 「商品が1個しか売れなかった場合、お客が10人来て1個売れたのか、それとも100人来て1個なのか。それによって改善策はまったく違います。しかし今までの小売店のマーケティングではそこが見過ごされてきました。POSを活用した購入者のデータはあっても、『買わなかったお客』のデータが存在しなかったからです」 そう語るのはABEJA(アベジ