演出と主演を兼務する映画監督として、チャップリン、オーソン・ウェルズと並び称される ウディ・アレンは、最新作『トゥ・ローマ・ウィズ・ラブ』まで43本の作品を世に出していますが、 その中で42本目になる本作は、アレンが演出だけに専念した11本目の作品になります。 アレンは、40本目の記念作「人生万歳!」完成後に、英タイム誌のインタビューで、 好きな自作は何かと質問されて、選んだ6本の作品中、「カイロの紫のバラ」「ブロードウェイと 銃弾」「マッチポイント」「それでも恋するバルセロナ」と未出演作が4本も含まれていますが、 私も、風采の上がらない、神経質で理屈っぽいインテリ役を十八番とするアレンの出演(ビジュアル 的にも辛いものがある)する、都会的日常を切り取った気障な作品よりも、ファンタジー色の強い 作品の方が好きで、本作も、1920年代の雨降るパリと芸術家たちに心酔している売れっ子の 脚本家が