安藤茂彌(トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO) 【第11回】 2008年10月22日 ポールソンがゴリ押しした規制緩和が、 米投資銀行の自己崩壊を招いた 筆者が三菱銀行(当時)のトレーニーとしてモルガン・スタンレーに派遣されたのは、1979年だった。モルガン・スタンレーは、日本の商業銀行が仰ぎ見る、米国屈指の名門投資銀行として名声を集めていた。あれから29年。10月には三菱UFJファイナンシャル・グループが約9000億円を投じてモルガン・スタンレーの救済に乗り出した。いまや時代は大きく変わった。 この1ヵ月間に、リーマン・ブラザーズは倒産し、メリルリンチはバンク・オブ・アメリカに買収され、ベアー・スターンズはJPモルガン・チェース銀行に買収された。残る二社、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは銀行持ち株会社を設立して、FRB(連邦準備理事会)の信用供与を受けられる銀