大地の神を鎮めるとされる力士形埴輪=高槻市立今城塚古代歴史館力士、牛、太鼓、ニワトリ…。不思議な集団が土の中から姿を現した。これらはすべて埴輪(はにわ)。大阪府高槻市の今城塚古墳(墳丘長181メートル、6世紀前半)で国内最多の200体分以上が発掘された。「真の継体天皇陵」といわれるだけあって、人の背丈ほどある巨大な家形埴輪も出土。天皇が神に祈りをささげた祭殿とされる。大量の埴輪群は、天皇崩御に伴う厳粛な皇位継承儀礼を再現したものという。1500年前の天皇陵の姿から、現代の天皇の御代替わりの源流も見えてきた。 天皇陵とされながら、今城塚古墳ほどズタズタに傷めつけられた巨大古墳はない。戦国時代に織田信長が砦(とりで)として使い、豊臣秀吉の時代には活断層による大規模な伏見地震で墳丘が崩壊。被葬者を納めた石室は跡形もなく、後円部も上半分ほどが失われた。