2012年、4月深夜。仕事から帰り、ビールを飲みながらぼんやりテレビを眺めていた僕は殴られるような衝撃を受けた。盗みと快楽を肯定する背徳的な詩を朗読するハスキーな女性の声、反復するチェロの音色。耽美的な筆致で知られるオーブリー・ビアズリーや宇野亜喜良の絵がそのまま動き出したようなエロティックな映像。それらが突然テレビから溢れ出たのだ。アニメである。けれども、最近流行のどんなアニメにも似ていない。それが『LUPIN the Third 〜峰不二子という女〜』だった。 誰もが知る『ルパン三世』シリーズの27年ぶりのテレビシリーズとして生まれた同作は、紛れもなくルパン三世だが、同時に圧倒的なオリジナリティーを備えていた。峰不二子を軸に据え、1960〜70年代によせた舞台設定は、原作が持っていたエロティックでアダルトで出鱈目な世界観を現代に甦らせることに成功した。菊地成孔が音楽を担当したことでも話
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