何度も読み返す漫画がある。 例えば、こうの史代『長い道』と森薫『乙嫁語り』がそれ。筋もオチも味わい尽くしているのに、気づくと読み返して、噛みしめる度に良さを感じている(読んでる時間が好きなのだ)。こういう「しみじみと好き」な漫画は、インパクト重視のキャラは出てこないし、ド派手な演出は少ない。 では、地味(?)だけど滋味があり、何度も噛みしめたくなるような作品は、どう違うのか? 『マンガの原理』(大場渉、森薫、入江亜季)によると、耐久性を重視した作品だという。読み捨てられるような作品ではなく、心に残り続けるためには、どのようなセオリーがあるか。漫画を読む体験を心地よく感じてもらうには、どんな技法があり、それは具体的にどの作品のどこに反映されているか。 漫画は技術 こうし原理原則を、4つの章と68の技法に分解して紹介している。 1. コマ割りと視線誘導の原理 2. 絵の原理 3. フキダシとセ
