【ソウル=豊浦潤一】北朝鮮が26日、韓国と共同で運営する「開城(ケソン)工業団地」を一時閉鎖に追い込んだことで、南北協力事業は「最後の砦(とりで)」を失った。 北朝鮮は、朝鮮半島の緊張を極限まで高め、米国を協議の場に引きずり出して核保有国の地位を認めさせる狙いのもと、貴重な外貨獲得源もなげうった格好だ。韓国の朴槿恵(パククネ)政権も北朝鮮との妥協を拒否する構えで、南北の溝は一層深まることが不可避となった。 韓国統一省によると北朝鮮は、従業員の賃金だけで年間9000万ドル(約88億円)以上を手にしており、一時閉鎖は北朝鮮にとっても痛手だ。ソウルの北朝鮮消息筋は、「それだけ金正恩(キムジョンウン)政権の狙う獲物が大きいということ。米国に核保有国の地位を認めさせるため大きな賭けに出ている」と分析する。