2013年7月末のある日、慶應の三田キャンパスで偶然会った本書の編集担当者氏からやや唐突に、「憲法改正についての本を書きませんか」と声をかけられた。せっかくの申し出だったけれども最初断わろうと思ったことは、本書のあとがきに記した。私は日本国憲法を系統だって勉強したことがないし、当時活発に議論されていた改正問題に首をつっこみたくない。そう述べる私に、その後さんざんお世話になる同氏は、「いやいやアメリカ憲法の改正についての本です」と説明し、「まあできれば、多少は日本国憲法の改正についても触れてもらえればとは思いますけれど」と付け加えた。 あれから3年経ち、ようやくこの本が世に出て、なぜこの仕事を結局引き受けたのだろうと改めて思う。一つには、アメリカ合衆国憲法が制定されて以来今日までに27回改正されたその歴史を自分自身が知りたいという、純粋な知的好奇心があった。憲法改正の歴史を書けば、私がここ2
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