教員の長時間労働が深刻化している。「脱ゆとり」に伴う学習指導要領の改定で授業時間が増え、部活動指導や事務作業の負担が重くなっている。九州では、2014年に大分県内の公立中学校内で倒れた後に死亡した女性教諭=当時(46)=が6月、民間の労災に当たる公務災害に認定された。教員の「働き方改革」について、文部科学省は年内にも緊急対策を打ち出す方針だ。各地の学校現場でも試行錯誤が始まっている。 「これは私が働いた証しだから。もし、私に何かあったら使って」。大分県北部の中学校で14年7月、職員室で意識を失って亡くなった女性教諭は生前、同僚だった男性教諭にそう告げ、パソコンに勤務記録を残していた。 国語と書写を教え、バレーボール部の顧問を務めていた。県教育委員会が任命する学力向上支援教員。模範的な授業を通じて全国学力テストなどの成績の底上げを図る指導的立場で、自分の授業だけでなく、研修会など多忙を極めて
2015年12月に自殺した、小樽掖済(えきさい)会病院(北海道小樽市)の臨床検査技師の男性(当時34)は、直前の1カ月間の時間外労働が188時間だった。遺族の申請を受けた小樽労働基準監督署が労災認定。遺族は今年2月、損害賠償を求めて提訴した。遺族は「責任の所在をはっきりさせたい」と言う。 訴状によると、男性は2005年に同病院に就職。15年7月ごろから、病院の新築移転に伴って導入される電子システムの構築作業などを任されて残業が常態化した。うつ病を発症し、同年12月に病院の屋上から飛び降りて自殺した。 小樽労基署の認定では、自殺直前の半年間で時間外労働が100時間を超えた月が4回あった。 遺族は今年2月、病院を運営する一般社団法人日本海員掖済会に約1億2566万円の損害賠償を求め札幌地裁小樽支部に提訴した。訴状で、原告側は「被告は過酷な長時間労働を把握していながら放置し、業務量を調整する安全
在職中にうつ病を発症し、27歳で自ら命を絶った北九州市元嘱託職員の両親が29日、うつ病は業務が原因と考えられ、公務災害(労災)にあたるとして遺族への補償などを市に求める訴えを福岡地裁に起こした。常勤職員なら認められる労災補償の請求権を非常勤には認めていない同市の条例により、違法に請求を阻まれたと主張している。 ◇ 「娘は非常勤職員であったがゆえに、労災請求を受け付けてもらえなかった。非常勤の方が苦しむことのないよう、労災補償の制度を改善してください」 提訴後、記者会見に臨んだ森下佳奈さんの母親、眞由美さん(55)はそう声を絞り出し、「娘も『自分の死を無駄にしないで。同じような人がいたら助けてあげて』と思っているような気がする」とつぶやいた。 この日は佳奈さんの30回目の誕生日。佳奈さんの遺品だという眼鏡をかけ、「レンズを替えるとき、涙の跡があった。娘が『生きたかった』と訴えていると思った」
大阪市内のアスベスト(石綿)工場で働き石綿関連がんの腹膜中皮腫になったとして労災請求し、不支給になった鹿児島県の男性(2015年4月に64歳で死亡)について、大阪中央労働基準監督署が今年3月、14年に出した不支給決定を取り消し労災認定していたことが分かった。遺族の訴えで厚生労働省が再調査し、仕事で石綿を吸い込んだ可能性が高いと判断した。被害者団体は「当初の調査が不十分だった」と批判する。 中皮腫はほとんどが石綿を吸い込んだことが原因とされる。厚労省は12年、中皮腫と診断されながら石綿ばく露作業に1年以上従事したことが確認できず、労災との判断を下せない場合は、本省での協議を求めるよう全国の労働局に通達したが、大阪中央労基署は協議を求めず独自に不支給を決めていた。
懲戒解雇は撤回されたものの、シュレッダー係をさせられたアリさんマークの「引越社」の男性社員。東京都労働委員会の救済命令を受けて会見した=23日、東京・霞が関 アリさんマークで知られる「引越社」のグループ会社「引越社関東」で、セールスドライバーだった男性社員(36)が、運転中に事故を起こして弁償のため労働組合に加入したことをきっかけに懲戒解雇やシュレッダー係への配転を命じられたことについて、東京都労働委員会は23日、不当労働行為であると認定した救済命令を交付した。 命令書などによると、男性は平成27年1月、営業車を運転中に事故を起こし、会社から弁償金を求められたことから、社外の労働組合に加入し、団体交渉を開始。同社は男性を同年8月に懲戒解雇するとともに、顔写真入りで「罪状」と題した解雇文を全店に貼り出した。2カ月後に解雇は撤回されたものの、一日中書類を廃棄するシュレッダー係に配転された。
連合、修正要請の扱い先送り=「残業代ゼロ」法案 連合は23日開いた三役会で、高収入の専門職を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」導入などと、残業時間の上限規制を労働基準法改正案として一本化することに、反対する方針を確認した。高プロをめぐり「年間104日以上の休日確保」の義務化をはじめ、先に政府に修正要請した項目の取り扱いは、議論を先送りした。月末に見込まれる厚生労働省の審議会までに結論を出すよう迫られる。 高プロ導入などを明記した労基法改正案は2015年4月、国会に提出された。だが、野党は「残業代ゼロ」法案と批判、これまで審議入りできていない。政府はこうした状況を踏まえ、残業時間の上限規制と高プロ導入などを一本化した労基法改正案を秋の臨時国会に提出する方針だ。(2017/08/23-21:07) 関連ニュース 【経済記事一覧へ】 【アクセスランキング】
厚生労働省は二十三日、収入が高い一部専門職を労働時間規制から外す「残業代ゼロ」制度(高度プロフェッショナル制度)創設を柱とする労働基準法改正案、罰則付きで残業の上限規制を盛り込む同法改正案、正社員と非正社員の不合理な差をなくす「同一労働同一賃金」を目指す労働契約法改正案など七本の法案を一つにまとめ、一括法案として秋の臨時国会に提出する方針を固めた。 「残業代ゼロ」法案、「残業上限規制法案」ともに過労死を招く危険性があるとして、野党は反対している。政府は一括法案にすることで、審議時間を短縮し、臨時国会での成立を目指す。
大手広告会社の電通(東京)が社員に違法な残業をさせていた事件で、東京簡裁(菊地努裁判官)は1日、労働基準法違反罪に問われた法人としての電通の初公判を22日午前11時から開くことを決めた。東京区検は電通を略式起訴したが、簡裁は罰金刑を科す略式命令を不相当と判断し、公開の法廷で審理することが決まっていた。 検察側は公判で改めて罰金刑を求刑するとみられる。電通の山本敏博社長は公判に自ら出廷することを明らかにしており、起訴内容を認める方針。過去の労基法違反事件の正式裁判と同様、初公判で結審する可能性が高いとみられる。 起訴状によると、電通は過労自殺した新入社員の高橋まつりさん=当時(24)=ら社員4人に対し、電通本社の労使協定(三六協定)が定めた月50時間を超え、平成27年10〜12月に3時間30分〜19時間23分の時間外労働をさせたとしている。
広告大手電通(東京)の違法残業事件で、東京簡裁は1日、労働基準法違反罪に問われた法人としての電通の初公判を、22日午前11時から開く、と発表した。簡裁は7月、東京区検から略式起訴を受けた後、書面だけの審理で結論を出すのは「不相当」とし、正式裁判を開くことを決めた。 簡裁の正式裁判は初公判で結審する例が多い。今回もその可能性が高いとみられる。 起訴状などによると、電通では2015年10~12月に東京本社の部長3人が部下4人に1カ月で最大19時間の違法な残業をさせたとされる。部長らは不起訴処分(起訴猶予)になったが、法人の電通は違法労働を防ぐ措置を怠った罪に問われている。 検察側は、主に専門性の高い事件の裁判を担う地検特別公判部と、捜査を担当した公安部の検事が法廷に立つ。一方、被告の電通は、山本敏博社長が法人を代表して出廷する意向を明らかにしている。(藤原学思)
コンビニ配送で過労死=長野の43歳、残業100時間超 コンビニに商品を配送する途中に死亡した長野市の男性運転手(43)について、長野労働基準監督署が直前に月100時間超の残業があったとして、労災認定したことが31日分かった。認定は24日付。 【特集】深夜ワークの主婦たち 遺族側の弁護士によると、男性は昨年3月、信濃陸送(長野県千曲市)に入社。今年1月6日に同県上田市のコンビニ駐車場で倒れ死亡した。死因は急性大動脈解離だった。 長野市内の入荷センターとコンビニの間を2往復して十数店舗を回る過密日程で、死亡前の半年で残業は月96~135時間に及んだ。多くの月で残業を104時間と定めた労使協定に反し、未払いの残業代は200万円近くに上った。 コンビニ配送は時間厳守のため、規定の時刻より早く出発するなどして食事もままならず、帰宅が午前3時になることもしばしばあったという。(2017/08/31-1
大手コンビニエンスストアの店舗にトラックで商品を配送していた長野県内の運送会社社員の男性=当時(43)=が、最長で月百三十五時間に及ぶ残業などで過労死したとして、長野労働基準監督署(長野市)が労災認定していたことが分かった。遺族側代理人の弁護士が三十一日に記者会見し明らかにした。 認定は八月二十四日付。東京都内で会見した川人博弁護士によると、男性は昨年三月に運送会社「信濃陸送」(長野県千曲市)に入社し、県内のコンビニ店舗に飲料などを配送していた。今年一月六日、配送先の同県上田市内の店舗駐車場で倒れ、急性大動脈解離で死亡した。 遺族側が会社からタイムカード記録などの提出を受けて調べたところ、男性は正午ごろから翌日の午前二時ごろまで働き、休憩もほとんどなかった。残業時間は昨年夏に月百三十五時間、亡くなる直前の一カ月は百十四時間に上った。母親は川人弁護士らに「食事の時間もなく、いつも疲れていた」
長野県内の運送会社に勤務するトラック運転手の男性社員(当時43)が突然死したのは長時間労働による過労が原因だとして、長野労働基準監督署(長野市)が労災認定したことが31日わかった。遺族側代理人の川人博弁護士が記者会見して明らかにした。認定は8月24日付。 男性は信濃陸送(長野県千曲市)に勤務し、コンビニ店への飲料や菓子、雑貨などの商品の配送を担当していた。今年1月6日、配送先の店の駐車場で倒れ、急性大動脈解離で亡くなった。 川人氏によると、長野労基署は、発症前1カ月間(2016年12月7日~17年1月5日)の時間外労働が約114時間で、「過労死ライン」とされる月100時間を超えていたと認定。発症前6カ月のうち5カ月で100時間超の時間外労働があったことも認めた。男性は物流センターで荷物を積んで7店舗ほどを回る行程を、日中から翌日未明にかけての勤務時間内に2回繰り返していた。店ごとに決められ
長野県の運送会社に勤務し、今年1月に急性大動脈解離で病死した男性運転手(43)について、長野労働基準監督署が長時間労働が原因だとして労災認定していたことがわかった。 遺族の代理人弁護士が31日、記者会見して明らかにした。 代理人弁護士によると、男性は2016年3月、「信濃陸送」(長野県千曲市)に入社し、コンビニエンスストアへの配送業務を担当。約40キロ離れた長野市と上田市を1日2往復するなど長時間労働が続いていた。今年1月、コンビニの駐車場で倒れているのが見つかり、病院で死亡が確認された。 遺族が4月に労災申請。同労基署は運行記録などから死亡前1か月の残業は約114時間だったとして、8月24日に労災認定した。 代理人を務めた川人博弁護士は、運送業が残業時間の上限規制の対象となるまでに5年の猶予期間が設けられたことを踏まえ、「政府の姿勢は、運転手の過労死を助長している」と指摘。同社は「真摯(
連合、法案一本化に反対=働き方改革と「残業代ゼロ」-労政審 厚生労働省は30日、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会を開き、秋の臨時国会に提出する労働基準法改正案の議論を始めた。厚労省は冒頭、「働き方改革」の柱である残業時間の上限規制と、高収入の専門職を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」導入などを一本化する考えを表明。連合は「長時間労働を助長しかねない」と高プロ創設に抵抗しており、法案一本化に強い反対を表明した。 高プロや裁量労働制の拡大を盛り込んだ労基法改正案は2015年4月に国会提出されたが、野党から「残業代ゼロ法案」と批判され、審議入りできていない。厚労省は会合で、これを撤回し、残業上限規制との一括法案として臨時国会に再提出する方針を示した。 厚労省は分科会を9月中旬までに数回開く方針。この日の初会合は、法案要綱の諮問に先立ち、労使双方が意見を表明し
厚生労働省は三十日の労働政策審議会分科会で、収入が高い一部専門職を労働時間規制から外す「残業代ゼロ」制度(高度プロフェッショナル制度)創設を柱とする労働基準法改正案と、罰則付きで残業時間の上限規制を設ける同法改正案を一本化する方針を説明した。この法案は労働者の働き方に大きな影響を与える。経営者側が企業の競争力強化につながると歓迎したのに対して、労働者側は「長時間労働を助長する」と反対した。 (木谷孝洋) 厚労省は労基法改正案のほか、正社員と非正社員の格差を縮める「同一労働同一賃金」に向けた労働契約法改正案など七法案を一括法案として国会提出する方針も示した。 最も意見が対立したのは、労基法改正案の一本化だ。連合の村上陽子・総合労働局長は、残業時間の規制をなくす「残業代ゼロ」制度と残業上限規制は趣旨が異なると指摘し「なぜ一本化する必要があるのか理解できない」と疑問を投げ掛けた。
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