ミッキーマウスやドナルドダックを挙げるまでもなく、現代では着衣の動物たちは児童文学の定番になっている。だが、なぜ彼らは服を着ているのだろうか?18世紀半ばに登場した着衣の動物は、風刺画などで人間社会を皮肉る役目をおっていたが、徐々に「かわいい」ものとして子ども部屋に入り込み、『不思議の国のアリス』、ピーターラビット・シリーズに至りその位置付けを確立する。本書はその過程に産業革命による自然観の変化、読者の階級意識の変化などがあったことを、動物たちに着せられた服の分析を通じて読み解く。また、アリスの白ウサギやピーターラビットたちが物語と切り離されキャラクター商品化された、今日のいわゆる「かわいい」文化の先駆けでもあったことを、豊富な図版と資料から描き出す。 はじめに 第1章 着衣の動物揺籃期 1 生身の動物 2 一九世紀初めの作品 3 戯画からの殴り込み 第2章 ポケットの付いたチョッキを着た