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ブックマーク / honz.jp (126)

  • 『小山田圭吾の「いじめ」はいかにつくられたか』情報社会の「災い」の構造を読み解く - HONZ

    東京五輪直前の猛バッシングを覚えている人も多いだろう。世間から指弾されたのは、国際的にもその音楽性を高く評価されていたミュージシャン、小山田圭吾だった。だが彼は当に悪人だったのだろうか? 書は未曾有の炎上の背景に分け入り、子細な検証を重ねて、この炎上が理不尽な「インフォデミック」、すなわち誤情報のとてつもない拡散によってもたらされた災いだったことを明らかにした労作である。情報社会特有の病理の構造を読み解いた一冊だ。 あらためて概要をおさらいしておこう。 きっかけは、東京オリンピック・パラリンピック開会式の作曲担当のひとりに小山田が選ばれたことだった。ところが、いじめをめぐる過去の雑誌での発言がSNSで拡散され炎上し、内外のメディアでも報じられるに及んで、わずか数日後に辞任を余儀なくされてしまう。 影響はそれだけにとどまらなかった。放送開始以来、楽曲を担当してきたNHK Eテレの『デザイ

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    kitone 2023/03/10
  • 2022年 今年の一冊 - HONZ HONZメンバーが、今年最高の一冊を決める!

    HONZメンバーが選ぶ今年最高の一冊、今年で12回目を迎えるところとなりました。メンバーそれぞれが好きなを、好きなタイミングで送ってくるので、毎回順番をどうしようかと頭を悩ませます…。今年は12回目を記念し(?)、基に立ち返って名字を五十音順に並べてみました。 最大勢力となったのはア行とナ行。ア行が「うんこ→肉→防災アプリ→なめらかな社会→銀河文字」と美しき旋律を奏でれば、ナ行も負けじと「川口浩→介護→フロイト→金玉→いい子症候群」と華麗にビート刻む。それぞれ一人ずつしかいなかったマ行・ワ行も、来年は仲間集めに勤しむことだろう。 そんなわけで今年も、メンバーそれぞれの「今年最も○○な一冊」を紹介していきます。 アーヤ藍  今年最も「旅にぴったりだった」一冊 今年はコロナ禍以来はじめて海外に飛んだ。久しぶりすぎてパスポートの期限が切れていることに直前まで気づかなかったほど、旅の感覚が鈍

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    kitone 2023/01/01
  • 『情報セキュリティの敗北史 脆弱性はどこから来たのか』 訳者あとがき - HONZ

    作者: アンドリュー・スチュワート、翻訳:小林 啓倫 出版社: 白揚社 発売日: 2022/10/12 書は2021年9月に出版された、A Vulnerable System: The History of Information Security in the Computer Age(脆弱なシステム――コンピュータ時代の情報セキュリティ史)の邦訳である。著者のアンドリュー・J・スチュアートは投資銀行で情報セキュリティの専門家として働く一方、ロンドン大学キングス・カレッジに研究生として在籍中であり、情報セキュリティに関する論文を多数発表している。原著のタイトルにもある通り、書は「脆弱なシステム」であるコンピュータのセキュリティをめぐる歴史を振り返るとともに、それを通じて「なぜ情報セキュリティは失敗の連続なのか」を明らかにしている。 書でも繰り返し指摘されているように、いまや情報セキ

    『情報セキュリティの敗北史 脆弱性はどこから来たのか』 訳者あとがき - HONZ
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    kitone 2022/10/13
  • 通史を1人で書き上げる知力に脱帽!『人類5000年史 Ⅳ—1501年~1700年』 - HONZ

    ちくま新書で『人類5000年史』というシリーズが刊行中だが、文明の誕生から現代まで人類史を簡潔に一望できる。今回紹介する第4巻では、1501年から1700年までの通史がシリーズ通し番号の第9章・第10章として充てられている。 かいつまんで紹介すると、銃を手に銀を求めて海を渡ったコンキスタドール(征服者)が、交易の時代を押し開いた。宗教改革という狼煙が上がったヨーロッパでは、世襲を続けてきた王朝同士が宗教戦争に翻弄される。 一方、東方に目を移すと中華帝国は明から清へ激変し、アジアを基盤とする四大帝国では朝貢貿易から互一システムへの大転換が行われた。そして世界史上初の科学革命と啓蒙思想が芽吹き、世界=経済というシステムが歴史の歯車を回し始めた。 言うまでもないことだが、歴史は人物と事件が作るストーリーである。書では17世紀の天才科学者ガリレオ・ガリレイ(1564〜1642)とヨハネス・ケプラ

    通史を1人で書き上げる知力に脱帽!『人類5000年史 Ⅳ—1501年~1700年』 - HONZ
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    kitone 2022/08/20
    “文系・理系を問わず学者には、「モノ派」と「スジ派」の2種のパターンがある(鎌田浩毅著『座右の古典』ちくま文庫、358ページ)。”/おお、鎌田先生。
  • 保健所の「コロナ戦記」TOKYO2020-2021 - HONZ

    混乱の記録である。同時にきわめて貴重な記録でもある。人類の歴史に残る新型コロナウイルスとの闘い。その最前線で何が起きていたのかが書で初めて明らかになった。 著者は保健所と東京都庁の感染症対策部門の課長として、新型コロナ対策の第一線で指揮をとった公衆衛生医師である。メモ魔を自認する著者の記録は詳細をきわめる。保健所の苦境は報道などを通じ多少は知っているつもりだったが、現場の状況は巷間伝えられているよりもずっとひどかった。都の1日の新規陽性者が5千人を超えた昨年8月、彼らはついに絶望の淵に立たされてしまう。よく持ちこたえたものだと思う。読みながら何度も背筋が寒くなった。 なぜ保健所は追いつめられてしまったのか。保健所は行政サービスと医療サービスのいわば中間にある組織だ。著者はこれを川と海のはざまの汽水域にたとえる。来なら中間的な立場だからこそ医療機関や行政の目の届かないところをきめ細かくフ

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    kitone 2022/01/28
  • バックパッカーのリアルな生態を描き出す、小説家による旅行記──『四分の一世界旅行記』 - HONZ

    この『四分の一世界旅行記』はSF・奇想短篇集の『半分世界』でデビューし小説家として活躍している石川宗生によるバックパッカーとしての旅行記である。四分の一世界旅行記と題されているように、訪問する場所は中央アジア、コーカサス、東欧の15カ国。世界一周でもなければ、アマゾンの奥地にひそむ巨大ナマズを見つけるみたいなビッグ・テーマや企画がある旅ではない。旅が好きな作家が行った、気ままで地味な旅行記だが、それがなんだかおもしろい。 いまのご時世、インターネットに情報は溢れかえっており、旅先でそうそう絶体絶命のピンチに陥ったりすることもない。言葉が通じなくても、スマホで翻訳すればやりとりできる。ある意味、現代は魅力的な旅行記を書きづらい時代である。書でも当にたいしたことは起こらないのだけれども、その分、旅の細かなディティール──何をべたとか、どんな人と出会ったとか、ちょっとした困りごと、悩みごと

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    kitone 2021/05/06
  • 『2016年の週刊文春』個人的2020年のベスト・ノンフィクションはこれ! - HONZ

    文藝春秋は、「文藝」と「春秋」がくっついた会社だとよくいわれる。もちろんこれはふたつの会社が合併したということではない。文藝は文字通り文芸作品のこと、春秋は日々の出来事が積み重なった年月を指す。文藝春秋という会社は、文芸と日々の出来事を追うジャーナリズムとがくっついた会社なのだ。 「春秋」の大きな柱が『週刊文春』であることは誰もが認めるところだろう。いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの『週刊文春』だが、実は部数は最盛期に及ばない。にもかかわらず、その存在感は他メディアを圧倒している。その秘密はどこにあるのか。 書は、花田紀凱と新谷学というふたりのカリスマ編集長を軸に、創刊から60年を超える『週刊文春』の歴史と文藝春秋100年の歴史を描いたノンフィクションである。人物ノンフィクションとしても、出版メディア論としても抜群におもしろい。文字通り寝を忘れて一気読みしてしまった。 花田紀凱と新谷学。両氏に

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    kitone 2020/12/17
  • 『自閉症は津軽弁を話さない』文庫版著者あとがき - HONZ

    の何気ない「自閉症の子どもって津軽弁しゃべんねっきゃ」というひとことに、私は10年ものあいだ「当に?」「どうして、なぜ?」と問い続けました。そして同時に湧き上がった疑問。 「なぜ、他の人は目の前にあることを不思議に思わないでいるのだろう」 この研究を通して出会った保護者や支援者の多くは、この現象について「どうしてだろう?」と疑問に思ってくれました。ところが、専門家にとっては〝地域での臨床経験があればあたりまえ〞のことだったりして、研究者には〝どの理論で説明できるか〞ということがひっかかったようでした。この現象を多くの人が知っていたのに、なぜ不思議だと思わず、今まで誰もそのメカニズムを解明しようと考えなかったのでしょう。 研究者や専門家といわれる人々(私もですが)は、自分の専門や関連領域について多くの知識をもっています。私も大学に勤めていた時は教育相談にこられたお母さんに「それはASDの

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    kitone 2020/09/29
  • 『邦人奪還 自衛隊特殊部隊が動くとき』小説だからこそ書けた安全保障問題の不都合な事実 - HONZ

    元海上自衛隊の特殊部隊「特別警備隊」の創設者のひとりで先任小隊長を務めていた伊藤祐靖氏が書いた小説だ。ノンフィクション書評サイトのHONZでは基的には小説を扱わない。しかし、この小説はフィクションとは思えないほどリアルに安全保障問題の欠点を浮き彫りにしている。ゆえに敢えてレビューを書くことにする。 作のストーリーなのだが、北朝鮮でクーデターが発生。事態に介入しピンポイント攻撃を企図する米軍。しかし、その対象施設に6人の日人拉致被害者がいることが判明。政権は拉致被害者を救出するために自衛隊の派遣を決断する、といった内容だ。 現実の世界でも起こりそうな内容だ。そのため政治と軍事のシミュレーション的な要素もある小説となっている。しかし、作は凡百なミリタリー作品とは一線を画す。それは著者自身が自衛官として能登半島沖不審船を経験し、その後、対北朝鮮を睨んで創設された海上自衛隊の特殊部隊「特別

    『邦人奪還 自衛隊特殊部隊が動くとき』小説だからこそ書けた安全保障問題の不都合な事実 - HONZ
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    kitone 2020/08/26
    めちゃおもしろそう
  • 『公文書危機』政府の隠ぺい体質がもたらす公文書危機と民主主義の崩壊 - HONZ

    1997年に発覚した、民間金融機関などによる大蔵官僚への過剰接待事件以降、官僚の劣化が止まらない。中央官庁というのはブラック企業の典型であることが詳(つまび)らかになり、ルサンチマンを抱えた国民のバッシングを浴び、天下りも禁止される中、新卒採用での人気低下、止まらない若手の大量退職など、側から見ていても同情を禁じ得ないほど地盤沈下している。 こんな状態では官僚の士気は上がりようもないし、レベルの低い政治家に代わって能吏が組織として国を支えるという構造が崩れてしまったら、一体、日はどうなってしまうのだろうか。こうした心配が、今まさに現実のものになろうとしている。 自分の大学の同期の中でも、当時の大蔵省(今の財務省と金融庁)に入省したのは、飛び切り優秀で真面目で勤勉な連中ばかりだった。それにも関わらず、そうした中から、森友学園への土地売却交渉記録の改ざんを指示した上に、国会で「廃棄した」とか

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    kitone 2020/08/25
  • 『ドリーム・ハラスメント 「夢」で若者を追い詰める大人たち』大志を抱かない生き方は許容されるか? - HONZ

    書は、大人たちの「夢を持て」「大志を抱け」という温かなアドバイスが数多の若者たちを苦しめている事実を剔出する一冊である。なんだそりゃ、軟弱すぎる、大袈裟だ、そんなわけない……などと憤る方は多いだろう。だが、大学の事務職員として学生のキャリア支援と講演活動を精力的に行ってきた著者は、一万人以上の若者の生の声を聞き、もはや看過できない域に達していると痛感する。今の時代、将来の夢の話はただの嫌がらせになるリスクのほうが高いのだ。 とはいえ、あらかじめ断っておくと、このの目的は犯人の糾弾ではない。なぜ夢の話がハラスメント化したのか。第一、夢とは何か。夢の持てる状況とはどのように生じるのか。こうしたメカニズムを詳らかにした上で、多様な生き方を受け容れる社会とはどんなものか思案・思索していく内容となっている。 まずは現状認識から。将来の夢なんかない。やりたいことがよくわからない。自分のキャリアビジ

    『ドリーム・ハラスメント 「夢」で若者を追い詰める大人たち』大志を抱かない生き方は許容されるか? - HONZ
    kitone
    kitone 2020/07/25
    “大学の事務職員として学生のキャリア支援と講演活動を精力的に行ってきた著者は”
  • 今週のいただきもの:2020年6月21日週 - HONZ

    桃がおいしい季節ですね。そのままべるのはもちろん、モッツアレラチーズと一緒にマリネしたり、クリームチーズを入れて白和えにしても最高です。しかし、桃を使ったレシピで一番のオススメは、桃のレモンクリームパスタです。先日、10分で作ったレシピがおいしかったのでご紹介します。 <材料> 桃、レモン、生クリーム、生ハム、チーズ、ニンニク (生ハムはなくてもOK。チーズはお好みのものを。今回はグラナパダーノを使っています) <作り方> 1.パスタを茹でる(茹で上がった時にソースができているように調整する) 2.フライパンにオリーブオイルを引き、ニンニクを炒める。生クリーム、削ったチーズを加えて、レモンをしぼり、少し煮詰める。 3.皮を剥いた桃を一口大に切り、レモン、オリーブオイルで和える。 4.パスタが茹で上がったら、2、3と和え、皿に盛り、生ハム、削ったチーズ、レモンの皮を添える。 自分のお店を持

    今週のいただきもの:2020年6月21日週 - HONZ
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    kitone 2020/06/27
    “桃のレモンクリームパスタ”
  • 『人間に向いてない』きっとあなたは三回嘔吐く。その後暖かいなにかに満たされる。 - HONZ

    HONZの基は「ノンフィクション」だ。だがこの小説だけはどうしても紹介したい。 いま、この文章を書いているのは2020年3月末。世界中が新型コロナウィルスによる感染症のパンデミックと戦っている真っ最中である。 この病気は、最初は普通の風邪の顔をしている。だからみな油断していた、見くびっていた。それゆえ対応が遅れた。 日々増えていく感染者の数。制限される生活。他人とは会うな、マスクをしろ、人込みには行くなと指示され、混乱した民衆は買いだめに走る。病気にかかった人は差別され、情報を求めた末にデマに踊らされる。 国境は閉鎖され戒厳令以上に外出は制約されていく。各地の医師たちは命がけで治療を続けているが、間に合わない地域が増加している。これがいま、地球上すべてで同時進行しているのだ。 桜は咲いても花見の宴会は自粛、舞台もライブも自粛自粛。いやはや、生きているうちにSF小説そのまま、いやフィクシ

    『人間に向いてない』きっとあなたは三回嘔吐く。その後暖かいなにかに満たされる。 - HONZ
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    kitone 2020/06/27
    メフィスト賞の文庫落ち
  • 『上海フリータクシー』成長と矛盾が生み出した、大きな国の小さな個人の物語 - HONZ

    スーパーパワーの1つであり、世界でも存在感を増していく中国。しかしこの国の輪郭をつかむことは難しい。中国国家が語る中国と、中国人が語る中国との間には、同じ国とは思えないくらいの大きな差異が存在するはずだ。 しかしその差異をあぶり出すには、さらなる困難が伴う。ほかの国であればインターネット上の声を拾っていけば容易なはずだが、そこにはグレートファイアウォールと呼ばれる、中国のネット検閲システムの高い壁がそびえ立つ。 書は、この高き壁を突破しようと試みた著者の物語であり、その過程で出会った人々──個人的挑戦に取り組み、中国の成長と矛盾が生み出す不確かな転換期を乗り切ろうとする人々の、つくろわぬ物語である。 突破する方法は、意外なほど身近なところにあった。米国人ジャーナリストである著者は、過去に経験したタクシードライバーの経歴を活用しようと思い立つ。人はタクシーに乗ると、それだけで饒舌(じょうぜ

    『上海フリータクシー』成長と矛盾が生み出した、大きな国の小さな個人の物語 - HONZ
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    kitone 2020/06/27
  • 『ワイルドサイトをほっつき歩け』愛すべきおっさんたちの愚かで優しい日々 - HONZ

    世界が激動・混迷するこの時代、「おっさん」たちは何かと悪役にされていた。 トランプ大統領が誕生したのはおっさんのせいで、EU離脱もおっさんのせい。(中略)セクハラもパワハラもおっさんのせいだし、政治腐敗や既得権益が蔓延るのもおっさんたちのせい。 どこの国でもそうなのか、諸悪の根源のように言われている巷のおっさんは当にそんなにひどいのか。 中学生の息子の見た世界、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』が大ヒットしたイギリス在住の物書き、ブレイディみかこさんが今回ターゲットにしたのは、彼女の身のまわりに生息する「おっさん」たちだ。(一部人も含めたおばさんも) 彼女が観察するのは『ハマータウンの野郎どもー学校への反抗・労働への順応』で紹介された1977年出版当時の、英国労働者階級のガキどもの成れの果てだ。そのころ18歳とすると、いまや60歳オーバー。反抗的で反権威的なくせに、既存の階

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    kitone 2020/06/03
  • 日本人の人生ってこうなんや『人生の歩みを追跡する』 - HONZ

    世間様のあれこれについて、なんとなくこうなってるんやろうなぁと思っていることは多い。ただ、それは、身の回りで見聞きしたことに、ニュースなどから得た知識を加味した漠然たるイメージでしかない。いったいそれって正しいんやろうか。 厳密に調べ上げるのは不可能だろうが、およその傾向ならわかるかもしれない。しかし、そのための調査があるとは知らなんだ。2007年からおこなわれている「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」、通称「東大社研パネル調査」がそれである。 就職、転職結婚、出産といった重要な出来事。職場環境、家庭環境、友人・親子関係といったさまざまな状況。通勤、仕事事、余暇といった生活時間。さらに、健康、価値観、意識、幸福度、収入など、千人単位で何年もの間、個人を継続して追跡する調査がおこなわれた。その膨大なデータに基づき極めて多角的な解析をおこなった成果が『人生の歩みを追跡する』だ

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    kitone 2020/04/28
    社研パネルって人社系インフラ事業に入ってそうだな/https://www.jsps.go.jp/j-di/torikumi.htmlhttps://csrda.iss.u-tokyo.ac.jp/panel/JLPS/
  • 『コロナの時代の僕ら』コロナ後の我々は、何を守り、何を捨て、どう生きていくべきなのか? - HONZ

    では4月24日発売予定の、イタリアの小説家パオロ・ジョルダーノ*によるエッセイ『コロナの時代の僕ら』の全文が期間限定で公開されていたので、早速、読んでみた。 このエッセイは、イタリアでコロナウイルスの感染が広がり、死者が急激に増えた2月下旬から3月下旬に綴られたものだという。著者は、このの印税収入の一部を、医療研究と感染者の治療に従事する人々に寄付することを表明しているそうである。 人間は過去を忘れることによって生きている。5千万人から8千万人の命を奪ったと言われる第二世界大戦の記憶でさえも、年月の経過とともに風化していき、今やほとんどの人にとっては忘却の彼方である。 だから、「まさかの事態」はまだ始まったばかりなのだが、もしも我々が記憶に留めようと努めなければ、すべてが終わった時、今回のコロナウィルスのことも簡単に忘れ去られてしまうだろう。でも、そうすることによって、我々は当に以

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    kitone 2020/04/13
  • 新型コロナウィルスだけじゃない、伝染病のノンフィクションを読んでみよう! - HONZ

    このの発売時に、まさか世の中がパンデミックの恐怖にさらされているとは、製作者は誰も思ってなかっただろう。しかし、感染症の歴史のアウトラインを知りたいという人にはぴったり。かなり重いので持ち運びはできないけど。 以前、「ミステリマガジン」の医療小説特集の折、感染症のノンフィクション一覧を書かせてもらいました。10年ほど前ですが、いま読み直してみても、歴史的に価値のある作品ばかりです。絶版になっているものが多いのですが、興味のある方は探してみてください。 日は海に囲まれて、いわば離れ小島のような存在だから、かつて歴史上で世界的な流行をした伝染病も、外からの災いであるという受け止め方をしていた。毎年騒がれている鳥インフルエンザにしても、今回の新型インフルエンザにしても、あるいはエイズ、ペスト、コレラもそうであった。 しかし、ヨーロッパはそうはいかない。中央アジア奥地にしてもアフリカにしても、

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    kitone
    kitone 2020/03/01
  • 時系列に沿った「因果の物語」が通じなくなった世の中で生まれた新しい哲学『時間とテクノロジー』 - HONZ

    たとえばあなたが会社員で、「あなたはなぜその部署で働いているのか」と質問されたとしよう。自分で志望した、先輩に推薦された、いきなり指名された、など様々な理由があると思う。そしてあなたは今、その理由を過去に遡り、上司や同僚との会話、これまでの人事移動、そして大学で勉強していた頃の風景を思い返しているかもしれない。 今の自分を鑑みる時、過去を振り返る。過去が今の自分を築いてきたと、無意識のうちに信じている。書ではその無意識な感覚に問いかける。当に過去の出来事が今の自分につながっているのか。自分だけではなく、周りの人々や社会情勢まで視野を広げてみる。この、”世界を時系列・因果関係の中で捉える感覚”は、この先どこまで通用するのだろうか。 書によると、科学の進歩によって私たちの時間の感覚が変わってきている。たとえば音楽について、iTunesなどのネット配信サービスのおかげでその場ですぐに音楽

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    kitone 2020/01/17
    そもそも因果律って自明でしたっけ
  • 医学界の「怪物」、その壮絶なドラマ『ゴッドドクター 徳田虎雄』 - HONZ

    徳田虎雄。その名を聞いたとき、どのようなイメージが思い浮かぶだろう。医療に風穴をあけた風雲児、潤沢な資金をバックにした金権政治家、あるいは、難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)と闘う患者だろうか。それは世代や立場によって大きく異なってくるに違いない。いや、そもそも若い人には、その名さえ知られていないかもしれない。 まったくの徒手空拳から、昭和48年、大阪の松原市に建設した徳田病院を皮切りに、徳洲会病院を全国に開院。「徳洲会事件」によりすでに経営者の座を追われたといえ、71の病院と約3万人の職員を擁し、グループ全体で4,200億円もの売上げを誇る、日最大にして世界屈指の病院グループの礎を築いたのが徳田虎雄だ。 その一代記であるこの、面白くないはずがない。まずは冒頭のシーンで度肝を抜かれる。医療界の話のはずなのに、山口組傘下のヤクザ-警察がいうところの暴力団-の「事始め」の儀式から始まるのだ

    医学界の「怪物」、その壮絶なドラマ『ゴッドドクター 徳田虎雄』 - HONZ
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    kitone 2020/01/11