高校までの歴史の教科書で学んだことは、最新の研究では否定されていることも多い。目からウロコの「歴史の新常識」を、気鋭の若手研究者が解説します。今回は、“明治憲法の新常識”について。 明治憲法の負のイメージ 明治憲法(大日本帝国憲法)といえば、ドイツに学んだ欽定憲法。絶対的で変えることが想定されていない不磨の大典。イギリス流の政党政治を排し、天皇の強大な権限を定め、国民の権利・自由を制限した外見的立憲主義――。 昔ながらのよくある明治憲法観である。もちろん、「そうはいっても立憲主義の要素は備えていた」とか、もう少しバランスのとれた説明がなされることもあるが、一般的に明治憲法には負のイメージがつきまとっている。そして、当時の指導者たちがどのような考えをもって明治憲法体制をつくり運用していったのかは、あまり知られていない。 日本国憲法や現代の日本の政治を論じる際に、しばしば明治憲法や戦前の体制が