ブックマーク / blog.goo.ne.jp/r_in_mktg (31)

  • 進化・行動・神経マーケティング - Mizuno on Marketing

    いま,ビジネスパーソンも含め,行動経済学に関心を持つ人々が増えている。行動経済学は意思決定者の「限定合理性」に光を当てた。その延長線上に,感情や無意識の重要性が認識され,神経経済学(ニューロエコノミクス)が登場した。行動実験中心の行動経済学に対して,脳神経科学的な基礎づけを行うのが神経経済学だ。さらに,そうした実験に基づく知見に進化論的な基盤を与えるのが進化心理学である。人間の意思決定の特徴を,人類の長い進化プロセスにおける適応として説明しようとする。 この3つの学問はお互いに関連しながらも,独自に発展している。それをマーケティングあるいは消費者行動という観点から総合的に捉えるとどうなるか。それを非常に読みやすい文章でコンパクトにまとめたのが,ルディー和子『売り方は類人猿が知っている』である。ルディーさんはダイレクト・マーケティングの世界で活躍されてきた,どちらかというと実務家に属する方で

    進化・行動・神経マーケティング - Mizuno on Marketing
    kodaif
    kodaif 2010/02/11
    "反対ではないが,よくできているが反証不能な「物語」で終わっていることが多く,不満が残る。完全な方法はないとしても,進化ゲームのような,一定の厳密性を持つ方法でないと,ぼく自身は納得感を得られない。"
  • 東大マーケティング・ワークショップ - Mizuno on Marketing

    昨日,久しぶりに東大郷)に行った。赤門の周辺は工事中で,経済学研究科棟に行くには遠回りする必要があった(近道があるようだが,つい赤門のほうへ行ってしまう)。今回は,Korea University Business School の Janghyuk Lee 氏による発表。タイトルは "Local Networks As Early Predictors of Innovation Adoption," 共著者の筆頭は Jacob Goldenberg となると絶対聴くしかない。 この研究では,韓国SNS "Cyworld" のデータを用いて,スノーボールサンプリングで社会ネットワークを構成,Girvan-Newman の方法でクラスタリングする。そして,このサイトで流通するアイテムの普及規模と速度を,個人レベルとクラスタレベルの変数で予測しようとしている。その推定には,階層線形モデ

    東大マーケティング・ワークショップ - Mizuno on Marketing
    kodaif
    kodaif 2010/02/10
    "化け物のようにでかいデータを相手に,どこまで異質性を踏まえた分析をするのか。データの大きさが分析手法を制約するという皮肉な状況に研究者たちは陥っている。ミクロな観察に基づく研究も同時に必要だと感じる"
  • アイデア発想力養成ゼミの夢 - Mizuno on Marketing

    金曜の2年生ゼミでは,ハロウィンをテーマにお菓子をプロモーションするキャンペーン企画について,最終プレゼンテーションを行なった。最初からご協力いただいたSPプラニング会社の専門家に加え,お菓子メーカーのマーケターの方にもお越しいただき,講評と採点をお願いした。各チームの発表はいろいろで,レベルもかなり差が出た。優勝チームは独自のターゲティングを提案しただけでなく,「現場」に何度も行って取材と質問紙調査を行った。特別賞をとったチームも,既存資料を丹念に調べて,ロジカルなプレゼンを行なった。 選から漏れたチームは,アイデアはともかく論理や情報の裏づけが弱かった。マーケティングの基礎知識のない20歳前後の学生がふつうに考える企画とは,こういったレベルだろう。入賞チームには「想い」だけでなく,それを形にする「努力」があった。もうひとつ見逃せないのは,成功したチームほど「チームワーク」と「リーダーシ

    アイデア発想力養成ゼミの夢 - Mizuno on Marketing
    kodaif
    kodaif 2010/01/24
    "発想の本が溢れている。それを読めば誰でもすばらしいアイデアを思いつくわけではないにしろ,それぞれ一片の真実は含んでいるはずだ。多くの本を読み込んで整理すれば,何がしか法則が見えてくるかもしれない。"
  • 大学は何に敗北したのか - Mizuno on Marketing

    『中央公論』2月号は「大学の敗北」というタイトルの特集を組んでいる。これはいろいろな意味に解釈できる。冒頭の文章を読むと,最近経営が苦しくなってきた一定数の大学(院)を「敗北した」と呼んでいるように思える。あるいは、日の大学が国際競争で敗北した,という見方もあり得るだろう。少子化が進んで受験者総数が減る一方で,国家財政が厳しい状況になって教育・研究支出が削減されようとしている。こういう時代の流れに対して、大学が敗北しつつあるのかもしれない。これは,大学教員としては深刻な話である。 この特集で最も印象的なのが,慶應義塾大学の西田亮介助教による「ある若手研究者の悩み多き日常」だ。それは文科省が最近導入した,任期付の助教という職位にある若手研究者が,例の事業仕分けを「リアルタイムに」見守りながらどのように感じたかの記述から始まる。仕分けで行なわれた議論は,テニュアを獲得していない研究者にとって

    大学は何に敗北したのか - Mizuno on Marketing
    kodaif
    kodaif 2010/01/16
    "ここで元凶として「市場原理」,つまり経済合理性に近いものが挙げられている。だが,それを否定することが文科省による統制強化につながり,各大学からダイナミズムが失われていくとしたら元も子もない。"
  • やや遅めの新年の抱負 - Mizuno on Marketing

    毎年それを掲げては実現しないのでいいそびれてきたが,やはりそれを省みず,今年はやはり「論文を書き,投稿する」年にするという抱負を掲げることにしよう。年末に掲げた研究仕掛品の目録のうち,実際に締め切りが迫っているもの(もちろん投稿断念という形でスルーできるが),あるいは賞味期限を超えるかどうかぎりぎりなので,なるべく早く投稿するしかないもの(時代依存的で,時代を超えて成立するとはいえないもの)を優先して挙げると,以下のようになる。 iPhone の普及と情報伝播を調べた研究 クリエイティブな仕事の志向が消費行動に与える研究 クルマのブランド戦略と技術開発に関する研究 消費者の「予測能力」をフィールド実験で検証した研究 これだけ仕上げるだけでも大変だが,やるしかない。これに続くものは,以下の2つだろう。 消費者間の情報伝播に関するシミュレーション インフルエンサーを実購買データから発見する研究

    やや遅めの新年の抱負 - Mizuno on Marketing
    kodaif
    kodaif 2010/01/10
    "研究に学生を巻き込むことができればゼミの活動水準が上がり,「研究室」と呼べる集団に近づくだろう。さらに,そこから生まれた研究成果を講義に反映させていく・・・なんて好循環が生まれたら素晴らしい。"
  • 浅草の酒屋で「教養」を論じ合う - Mizuno on Marketing

    昨夜は,前の職場の同僚たちとの忘年会。年に数回こういう機会があるが,いつも刺激を受ける。ひとつは,国際レベルでの研究競争を戦う彼らと話すことで,衰弱しつつある自分の気持ちを奮い立たせることができる点(その効果の持続性に問題があるわけだが・・・)。もう一つは,ユニークな教育上の工夫を学べることだ。少なくとも後者は,ぼくにも真似ができるはずだ(やる気さえあればの話だが)。 そんな会話(酔話)のなかで,大学で学生にいかに「教養」を教えるか,という話題になった。教養とは何か,それはどうやったら教えられるのか,そもそも誰がそれを教えることができるのか,それを教える意味があるのか,などなど議論すべきことは多い。しかし,それらを適当にスキップできるのが「酔ったうえでの勢い」の効用だ。ただ,翌日になっても「教養」をどう教えるかが少し気になっている。 教養を教えるというのは,古今東西の哲学,物理学や生物学か

    浅草の酒屋で「教養」を論じ合う - Mizuno on Marketing
    kodaif
    kodaif 2009/12/30
    "物理学や生物学から文学や芸術,ファッションの話題までを語ることだろうか。いま「ふつうの」学生たちに教えるべき「教養」とは,そういうことなのだろうか。そもそも「ふつうの」教師にそんなことができるのか。"
  • 大学教授の給料は高すぎる? - Mizuno on Marketing

    弁護士・小倉秀夫氏のブログla_causetteで気になるエントリが続いている: 「補助金漬けの産業」・・・私立学校振興助成法に基づく私立大学への補助金は、平成20年度で約3200億円です。平成20年度の大学の教員数は講師、助教、助手をひっくるめて、約9万7000人です。従って、教員一人あたり約340万円程度の補助金を国は大学の教員につぎ込んでいるということになります。 介護ビジネスだって、一人あたり340万円もの補助金が設定されれば、もう少し担い手が増えるような気がします。 「税金で350万円も年収を嵩上げしてあげる必要はあるのか」・・・現在、大学教授の平均年収が約1100万円、准教授の平均年収が約900万円ですから、教員一人あたりの補助金約350万円をここから差し引いても教授で平均750万円、准教授で平均550万円くらいになります。・・・補助金なんかなくったって、学者たちが上から目線で

    大学教授の給料は高すぎる? - Mizuno on Marketing
    kodaif
    kodaif 2009/12/30
    "甘んじて研究している。そこで得られた成果が,国家や産業の競争力の源泉になっているのだ。そんなこともわからんとは・・・という主張だが,特に最後の部分が説得的であるためには「科学的」検証を要する。"
  • 選択の統一理論を夢見て - Mizuno on Marketing

    先週,行動経済学会の発表を終えたあと,いくつかの校務をこなし,適宜「休養」をとりつつ,今年最後の大仕事である筑波大での集中講義の準備をしてきた。初回の23日(明日!)は「消費者選択モデルと限定合理性」について75分×3回話す。離散的(確率的)選択モデルの入門から始めて,文脈効果に代表されるアノマリーや非補償型選好へと話を進める予定。過去に大学(院)や社会人向きに講義した際には,データへの適合(パラメタ推定)や実務への応用を中心にしゃべってきたが,今回は主従を逆転させる。 今回の受講者は,おそらく理工系を中心に一部文系も含む,幅広い専攻の学部(学類)学生と院生だろう。みんなが統計学の知識を持っている保証がないので,最尤法だ,階層ベイズだという話題には深入りしない。実務家ほどは,マーケティングデータを分析し,仕事の意思決定に役立てたいという切迫した要請もないだろう。だから,実務的応用の代表例で

    選択の統一理論を夢見て - Mizuno on Marketing
    kodaif
    kodaif 2009/12/22
    "そこでぼくが何かを学ぶだけでなく,そういう問題があるなら自分が解いてやろうと思うような野心的で能力のある若手に,何らか問題意識を伝えたいと思う。控えめにいえば,そうした努力の第一歩となればと思う。"
  • どの経済政策が正しいのか - Mizuno on Marketing

    鳩山内閣の支持率が低下し,時事通信社の最新の調査では50%を切った。記事では「米軍普天間飛行場移設問題や2010年度予算編成での新規国債発行額をめぐり、首相自身や閣僚の発言が迷走したこと」を理由にあげている。政策の内容以前に, 内閣の首尾一貫した戦略性,あるいは首相のビジョンやリーダーシップが見えないことが,イライラ感を募らせている。「ブレる」という点では前首相と同じように見える。漢字を正しく読む分だけ(あるいは政権交代の昂揚感が残る分だけ)現首相の支持率がまだ高いが,この勢いで落ちていくと,早晩30%台に到達するかもしれない。 国民にとって景気の行方と経済政策が最大の関心事のはずだが,政府はいま何をすべきかについて,経済の専門家たち(経済学者には限らない)のいうことも,まちまちである。たとえば,Diamond Online の最新コラムを一瞥すると,高木勝氏(明治大学教授)や山崎元氏(経

    どの経済政策が正しいのか - Mizuno on Marketing
    kodaif
    kodaif 2009/12/20
    "経済政策論争に加わる自信満々な人々にも聞いてみたい:なぜそうだと確信できるのか?それは科学的根拠に基づくのか,単なる信念なのか,その中間の「洞察」なのか。どれがいい,という話ではなく,ただ聞きたい。"
  • これからゼミをどうするか - Mizuno on Marketing

    来年4月から,ぼくが教えるゼミは2~4年まで揃う。週3コマはゼミを行うことになり,教務の大半はそれに費やされる。不況の影響で,ゼミ参加学生は非常に増えており,多くの教師にとっても学生にとっても「ゼミ」が大学生活の中心になるだろう。これまでと同様,今後もゼミ運営の試行錯誤が続く。 ぼく自身がゼミに入ったのは大学3年のときだ。数理経済学のゼミで,3年では一般均衡理論に関する邦訳された入門書,4年では英語の専門書を輪読した。ゼミ生の大半は,そのに書かれたアルゴリズムを実行する研究を行ったが,ぼくはそこから逃げて,ゲーム理論の文献サーベイで卒業論文を書いた。 修士課程では2年次(か1年の最後あたり?)に産業組織論のゼミに入った。修士論文を書くことを目標として,先生が指示する論文を次々読んで,年の後半には自らの研究の進行状況を報告した。ゼミ生は3人しかいないので,ほぼ毎回何かを発表していたはずだが

    これからゼミをどうするか - Mizuno on Marketing
    kodaif
    kodaif 2009/12/18
    "就活が本格化すると,ゼミ活動がどうなるか予測がつかない。卒論も,前任校のようにデータ解析やシミュレーションで「格好をつける」のは難しそうだ。一方,事例研究の場合,ぼく自身に指導や評価のノウハウがない"
  • 神経経済学の前に立ちはだかる壁 - Mizuno on Marketing

    昨日は夕方から東京財団に向かい,VCASIセミナーを聴講した。VCASI とは Virtual Center for Advanced Studies in Institution(仮想制度研究所)のことで,青木昌彦氏が所長を務める。セミナーの題目は「社会科学の哲学から見た神経経済学---協力行動と嗜癖」で,講師は社会哲学を専攻する吉田敬氏である。吉田氏は神経経済学を行動経済学の神経科学的基礎づけを目指すグループと,神経科学の理論的基礎として経済モデルを導入するグループに分け,それぞれの代表的な研究を紹介する。前者の代表は,ゲーム論における協力行動の研究であり,後者の代表は,人間の嗜癖ないし依存症の神経メカニズムをモデル化する研究である。 吉田氏は,前者の行動経済学的な神経経済学に対する共感を持ちながらも,その前途には大きな障壁が立ちふさがっていると指摘する。脳の特定部位の活動と認知行動の

    神経経済学の前に立ちはだかる壁 - Mizuno on Marketing
    kodaif
    kodaif 2009/12/15
    "お互い違うベクトルにしたがって分離しつつあるように思える。一般的な脳神経科学は今後も発展し,そこで経済現象も扱われていくだろうが,経済学を内部から変えようとする行動神経経済学がどうなるか微妙である。"
  • 行動経済学会@名古屋大学 - Mizuno on Marketing

    名古屋大学で開かれた行動経済学会第3回大会に参加した。この学会の会員ではないが,「マーケティング・消費者行動」の特別セッションを開くということで,お声がけいただいた。名古屋大学は「名古屋大学」という駅を出たところにある。ただし,そこは大学のど真ん中で,プログラムの地図を見ても,どちらの方角に進めばいいかわからない(やはりジャイロ付きの iPhone 3GS がほしい・・・)。案の定,大幅に遠回りして会場にたどり着いた。 最初に「実証行動経済学」というセッションを聴講。 代理変数の設定の仕方など,マーケティング研究から見ると大胆だなと思える面がある一方,変数の「内生性」を非常に気にするのが経済学らしいと思う。経済学らしくないが(だからこそ?)個人的に興味深かったのが,「カレンダーマーキング法」と名付けられた主観的幸福度の測定に関する報告だ。その日感じた幸福度を,寝る前に日記のカレンダーに○△

    行動経済学会@名古屋大学 - Mizuno on Marketing
    kodaif
    kodaif 2009/12/14
    "コメントするほど,そこで話されていることを理解できなかったが,会場に多数いるはずの論客にもっと出番が回るとよかった。彼らの議論を通じて,門外漢がああそういうことかという気づきを得る可能性がある。"
  • ジャーナルからマスメディアへ! - Mizuno on Marketing

    Journal of Consumer Research 最新号のお知らせがメールで送られてきた。それを見て驚いたのが,それぞれの論文についてメディアでの書評へのリンクが張られていることだ。これはおそらく,今回から始まった試みではないだろうか。たとえば,この号の巻頭論文 E. B. Andrade & T. H. Ho, Gaming Emotions in Social Interactions には,以下の書評がリンクされている: The Wall Street Journal Does It Pay to Be an Angry Customer? CBC News Consumer Anger Can Be a Powerful Negotiating Tool: Marketing Study United Press International Consumer Anger C

    ジャーナルからマスメディアへ! - Mizuno on Marketing
    kodaif
    kodaif 2009/12/11
    "明確なメッセージがあり,それが一般の人々にとって面白く,驚きである必要がある。「消費者の新製品の採用と会話ネットワークが織りなす相互作用を記述するモデルを構成した」という答では全然ダメなのだ。"
  • iPhone が実現するマッドな世界 - Mizuno on Marketing

    iPhone 情報整理術』というタイトルから,よくありそうな実用書に見える。しかし,このは発売後すぐ店頭から姿を消すほど売れ,その後も書店のビジネス書コーナーで売上上位ランキングに入り続けている。iPhone のユーザが買うだけでそこまでいくのか,やや疑問に思える。それよりはむしろ,このが提案するクラウド・オフィスやライフハックのノウハウがクチコミで広がり,多くの人々が興味を感じたのではないか。 iPhone情報整理術 ~あなたを情報’’強者’’に変える57の活用法! (デジタル仕事術シリーズ) 堀 正岳, 佐々木 正悟 技術評論社 このアイテムの詳細を見る 著者はまず,あらゆる情報を iPhone に入れてしまうことを提案する。電子ファイルはもちろん,もともと紙媒体であっても,すべて電子化して保存する。名刺をスキャンするなんてレベルでは終わらない。でさえバラバラに解体して,Sca

    iPhone が実現するマッドな世界 - Mizuno on Marketing
    kodaif
    kodaif 2009/12/08
    "それとも,この本が奨めるよい意味でのマッドな仕事と生活のスタイルを,日本のビジネスパーソンたちは採用し始めるのだろうか?そうなると本当に革命が起きる。そのとき,ぼくはどの陣営にいるだろうか?"
  • 消費者行動研究と「雑居文化」 - Mizuno on Marketing

    流通経済研究所から『流通情報』No.481が送られてきた。このなかに,拙稿「消費者行動の複雑性を解明する―エージェントベース・モデルの可能性―」が掲載されたためである。ちらちらと眺めながら,「消費者行動研究の新フロンティア」という特集名に相応しいかどうかを改めて問い直してみた。力作揃いの他の掲載論文と比べると,いささか見劣りがするかなという気がしなくもない。 他の論文で特に目を引いたのが,新倉貴士「感染・転移・源泉,そしてリアリティの消費者認知」である。何と魅惑的なタイトルだろう!もちろん「感染」といっても,明示的にクチコミのような消費者間相互作用を取り上げているわけではない。ただ,潜在的には関連した話題だと思う。ヒトとヒト,モノとモノ,ヒトとモノとの相互作用はどこかで通底するのではないかと考えさせられる。 阿部周造「解釈レベル理論と消費者行動研究」と石井裕明「消費者行動研究と制御焦点理論

    kodaif
    kodaif 2009/12/04
    "消費者行動研究の雑居性は日本固有のものではなく,消費者行動研究という学際分野に特徴的なことかもしれない。いずれにしろ,雑居性は平和をもたらすが,進化にはつながらない。"
  • 泣きたい - Mizuno on Marketing

    いま,いろんな意味で「泣きたい」気分である,泣いてすむなら,いくらでも泣きたいところだが,それで金曜夜の研究会での報告や来週末の学会番で「許してもらえる」はずがない。しかし,泣くことでリフレッシュできることは確か。直面する「山」を越えたら,「泣ける映画」を見て泣きたいと思う。 BRUTUS 12/1号で「泣ける映画」1位に選ばれたのはフェリーニの『道』。「恋愛」部門1位は『シェルブールの雨傘』。とりあえず,若き日のカトリーヌ・ドヌーブを眺めながら泣いてみたい。上位5位に2つ中国系の映画が入っている。『初恋のきた道』と『欲望の罠』だ。中国映画の勢いは止まらない。

    kodaif
    kodaif 2009/11/30
    "それで金曜夜の研究会での報告や来週末の学会本番で「許してもらえる」はずがない。しかし,泣くことでリフレッシュできることは確か。直面する「山」を越えたら,「泣ける映画」を見て泣きたいと思う。"
  • 人と人とを試験管で混ぜてみる - Mizuno on Marketing

    昨夜は消費者行動のダイナミクス研究会で,電通大の芳賀さんが日経リサーチ,KDDIと共同で開発した「クロスリファレンスリサーチ」の話を聞いた。これについて聞くのは,8月の行動計量学会以来。何度か話を聞くことで,この手法は画期的で革新的だが,そうであるがゆえに,その意義を正しく理解して活用することにも,発想の転換が必要なことがわかってきた。 この調査手法はケータイを用いる。最初にあるお題を与えられた対象者が書いたコメントが,ランダムに(制約をつけることは可能)他の登録された対象者に転送される。それを見た対象者がそこに加えたコメントが,さらに転送される。これが繰り返され,他者からあることばを受け取った消費者がどのように態度を変え,どのようなことばを発するかが観測される。 こうしたことばの連鎖は,従来であれば掲示板のレスやブログのコメントで観測された。そこでは,いうまでもなく連鎖は自発的に起きてい

    人と人とを試験管で混ぜてみる - Mizuno on Marketing
    kodaif
    kodaif 2009/11/30
    "したがって,それはいわば,化学者が異なる物質を試験管に入れて,混ぜたり熱したりするのと同じだ。そこから,自然に任せておいては発見できないような,新しい意識やことばが生成される条件を探ることになる。"
  • 身近に迫る「事業仕分け」の影響 - Mizuno on Marketing

    「マーケティング・リサーチの寺子屋」の最新投稿を読んで,意外と身近なところに「事業仕分け」の影響が及んでいることを知った: 「日版CSI」は廃止か?! ここで話題になっている「サービス産業生産性向上支援調査事業」には,よく存じ上げるマーケティング研究者が多数参画されている。そこで気になって,ある先生のブログを見ると,このことに関連するコメントが掲載されていた: 民主党の事業仕分け 自らが関わるプロジェクトの予算が削減されたり廃止されたりすることに,当は忸怩たる思いをお持ちにちがいないが,非常に冷静に,客観的に事態の推移を見ておられるのはさすがである。自らの研究費が削られようとするとき,冷静でいられないのがふつうで,今回,期せずしてそうした姿を見せてしまった高名な科学者たちもいた。社会科学者は自然科学者に比べて,自らの研究の社会的側面に対して,科学的な見方ができるということだろうか。 上

    身近に迫る「事業仕分け」の影響 - Mizuno on Marketing
    kodaif
    kodaif 2009/11/30
    "非常に冷静に,客観的に事態の推移を見ておられるのはさすがである。自らの研究費が削られようとするとき,冷静でいられないのがふつうで,今回,期せずしてそうした姿を見せてしまった高名な科学者たちもいた。"
  • 経済学における「物語」の可能性 - Mizuno on Marketing

    アカロフ-シラー『アニマルスピリット』は,三省堂書店店で長らく平積みされるなど,一般向け経済書として売れている。このを一言でいうなら「行動マクロ経済学の構築に向けたマニフェスト」であって,決して「行動マクロ経済学入門」ではない。訳者の山形浩生氏は「書が想定している読者は・・・既存のマクロ経済理論にどっぷり浸かり、それを空気のように当然のようなものと思っている人々となる」とあとがきで述べている。 したがって,マクロ経済(学)に関する一定の知識がないと,読むのに苦労する部分があるだろう。しかし,単に行動経済学に関心のある読者にとっても,「物語」(story)という概念を経済学に持ち込もうとすることは興味深いはずだ。企業や消費者,あるいは政策決定者の意思決定が「物語」に支配されるという見方は,シャンクのスクリプト論のような,認知科学の流れに連なる。いうまでもなく経済学者も「物語」にとらわれ

    経済学における「物語」の可能性 - Mizuno on Marketing
    kodaif
    kodaif 2009/11/25
    "研究のなかでも,物語論はまだまだ未開拓であると推察できる。難しいのは,経済への見方をすべて物語に吸収させてしまうと究極の相対主義になってしまって,経済学の欲する「客観性」を担保できなくなることだ。"
  • 学生の企画プレゼンから学んだこと - Mizuno on Marketing

    昨日は,2年生のゼミで「企画演習」の中間発表をした。プロモーションの課題を設定,学生たちをチームに分けて,リサーチとプラニング(企画)を競ってもらう。ぼくにはプロモーションの知識も企画経験も乏しいので,専門家の全面協力をお願いした。うち一人は,ぼくが最初に担当したゼミの出身者である。2年生はまだ「マーケティング」を体系的に勉強していないし,事前に簡単に基礎知識の講義をしただけだ。泳いだことのない子どもを,いきなりプールに落としたようなものだ。 ただ,企画やプレゼンの能力は必ずしも教わるものではなく,成人近くになればそれなりに身についてくるといえる。そこで,彼らなりに頑張ってプレゼンしてくれたが,多いのは次のようなパタンだった: 1)一応課題に関連して調べてきたことを列挙する。ネットの時代だから,それなりの情報が集められている。 2)突然,ターゲットが設定される。ある意味で常識的な判断に基づ

    学生の企画プレゼンから学んだこと - Mizuno on Marketing
    kodaif
    kodaif 2009/11/25
    "認知科学的研究で語られる普遍的な人間の発想プロセスなのだが,プロはそこからが違う。点としてのアイデアをつなぐように,情報を用いてロジックないしストーリーを構築する。それで企画に説得力が出てくる。"