温室効果ガスの排出量を、「2020年までに1990年比25%(2005年比30%)削減する」との民主党の目標をめぐり、90年を基準とすることに異論が出ている。国益が衝突する国際交渉では、削減率が低くみえる90年基準では不利になりかねないためだ。大排出国である米国や中国を交渉に引き込むためにも05年基準の方が有効との見方は政府内に根強い。 温暖化対策の国際的枠組みである京都議定書は90年を基準としており、EU(欧州連合)はそれに続く「ポスト京都議定書」でも90年を基準とすべきだと主張している。90年基準になれば、「EUは労せずして削減率が稼げる」(経済産業省幹部)ためだ。 EUの旧共産圏は、90年代の混乱で経済活動が停滞してエネルギー消費が減ったため、EU全体では90年代に二酸化炭素(CO2)排出量は減った。EUの90年比「20%削減」という目標は05年基準では「13%削減」にとどまる。