『宇宙が始まる前には何があったのか?』文藝春秋 ローレンス・クラウス/著 青木薫/翻訳 我々が生きているこの宇宙がビッグバンから始まった、ということは、もう常識と呼んでいいだろう。ビッグバンというのは、超大雑把に言えば、「凄く小さな“宇宙の種”みたいなものが爆発するように一気に膨張して宇宙が生まれた」という話である。ビッグバン説は、「宇宙背景放射」と呼ばれるものが正確に測定されたことで、ほぼ正しいと認められている。 さてしかし、「宇宙はビッグバンから始まりましたよ~」と言ったところで、まだ疑問は残る。じゃあ、その前には一体何があったのか、ということだ。もう少し具体的に言えば、「“宇宙の種”みたいなやつは突然どっから出てきたんだよ」ということだ。宇宙がビッグバンによって始まる前には、「何もなかった(それこそ空間すらなかった)」はずなのだから、そんなところになんで“宇宙の種”みたいなものが現れ
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