京都・清水三年坂美術館館長の村田理如(まさゆき)さんが、長い年月をかけて収集した明治の工芸品のうち、優品約160点を選んで紹介するものだ。 象牙で本物そっくりに彫られた野菜や果物、金工でこまやかに表現された動植物、絢爛たる七宝や蒔絵、そして写実的な絵画を織物の上に表現する刺繍絵画など、いずれも目を見張らざるをえない精緻な造形ばかり。まさに「超絶」と呼ぶにふさわしい技巧が凝らされている、 コレクションを築き上げた村田氏は、電子部品メーカーの大手、村田製作所の創業者一族の出身。自身も長らく会社の経営に携わっていた。しかし47歳で会社を去り、明治工芸のコレクションに邁進する。生涯を懸ける意味があると思わせた、明治工芸の魅力とは何か。ご本人に語ってもらった。 牙彫師・安藤緑山の作品「竹の子、梅」の前に立つ村田理如さん。村田さんは1950年京都府生まれ。47歳で当時、専務を務めていた村田製作所を辞職