仕事で成果を挙げたいのなら、何かをオウンしろという。 たとえばモジュール。機能。ライブラリやフレームワーク。まとまったコードを書いて、あるいは引き取って、自分の持ち物にする。バクを直し、人のコードをレビューして、持ち場の面倒を見る。 何かをオウンするのが、自分はあまり好きでない。なにしろめんどくさい。 コードをオウンするのは家を買うようなものだろうか。持ち家に憧れローンを組む人はいる。コードの対価として重責を引き取る人もいる。気持ちはわかる。自分にも憧れがあった。でも今は月々の返済に追われない身軽さが勝る。我ながら気が弱い。 オーナーシップには副作用もある。自分の所有権を守りたい心理が働く。領土を壁で囲いたい誘惑に駆られる。執着と責任の磁場に包まれて正気と勇気を保てるのか。 何もオウンせず働くのは借家暮らし。あるいは居候。部屋をひとつ間借りする代わりに家主の仕事を手伝う。コードから虫を追い