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人生と小説に関するlaislanopiraのブックマーク (380)

  • 常盤新平『遠いアメリカ』を読む - mmpoloの日記

    常盤新平『遠いアメリカ』(講談社文庫)を読む。先に読んだ『片隅の人たち』のいわば前編のような連作短編集。「遠いアメリカ」「アル・カポネの父たち」「おふくろとアップル・パイ」「黄色のサマー・ドレス」の4作からなっている。登場人物は共通で翻訳者を志している重吉とその恋人椙枝が中心になる。 重吉は早稲田大学の大学院に籍を置いているがほとんど出席していない。早稲田のアパートでアメリカのペーパーバックに埋もれている。ペーパーバックや雑誌を買いに渋谷の百軒店の奥にある古屋をしょっちゅう訪ねている。店のおじさんとも親しくなり喫茶店に誘われてコーヒーをおごってもらったりしている。 椙枝は俳優座養成所を出て小さな劇団に所属し、女優の卵として定期的に子供向けの芝居の地方公演に駆り出されている。椙枝を紹介してくれた翻訳者が重吉を可愛がって面倒をみてくれている。 重吉も椙枝もティッシュペーパーがなにか分からない

    常盤新平『遠いアメリカ』を読む - mmpoloの日記
  • 友達いなさすぎて文中で人の会話が書けない

    俺のぼっち歴は相当なもので、プライベートで遊ぶ関係を友達と勘定するならばたぶん中学一年生ぐらいの頃に映画を見に行ったのが最後だ。(クラスで映画を観に行く話をしてるところに俺が空気を読まずに“自分も行っていいか”と訊ねたことでついていく運びになった。今にして思えば、彼らにとっていい迷惑だった) 大学生の頃同じゼミのやつからマクドナルドに呼び出されたことはあるが、どうだろう……友達だろうか…友達ではないな。 なんなら映画を観に行ったときも、俺は観てすぐ帰ったので(楽しくなかったのではなく、普通に映画を観て満足したらすぐ帰りたくなった)そのあとなんやかんやでそのことを突っつかれ、俺はやるせない気持ちになった。「帰るわ!」と言って、特に引き止められずに「ああそう?じゃあまた」と言われたのだからそりゃ帰るよ。 俺は高校も大学も友達と呼べる人間が一人も出来ないまま過ごし、わけのわからぬまま人生の一番自

    友達いなさすぎて文中で人の会話が書けない
  • 名作『ジョゼと虎と魚たち』アニメ版は“純愛推し”だが…消された「性被害」の重み | 文春オンライン

    アニメ映画『ジョゼと虎と魚たち』が12月25日に公開された。原作は36年前の田辺聖子の小説で、17年前には実写化もされた。今回のアニメ映画(以下、作)は『ジョゼ』の3つ目のバージョンとなる(注1)。 これら3つに共通する部分は多い。生まれつき足が不自由な女性・クミ子。同居する祖母は彼女を案じるあまり家に閉じ込めている。そこに健常者の大学生・恒夫が奇妙な縁から関わるようになり、クミ子はやがて自らをジョゼと名乗り始める。あやうい恋を営むジョゼと恒夫。そしてジョゼから見た外界の恐怖の象徴として登場する虎……。 一方で、結末は各々違う。原作ではジョゼは歪な関係性の中に束の間の幸福を見出す一方、破局の予感もはっきりと持っている。実写では恒夫が親に結婚を言い出せず、やがて逃げるように去る。

    名作『ジョゼと虎と魚たち』アニメ版は“純愛推し”だが…消された「性被害」の重み | 文春オンライン
  • 作詞家 なかにし礼さん死去 82歳「北酒場」「石狩挽歌」など | おくやみ | NHKニュース

    「北酒場」や「石狩挽歌」など、昭和を代表するヒット曲の作詞家で、直木賞作家のなかにし礼さんが、23日、心筋梗塞のため東京都内の病院で亡くなりました。82歳でした。 なかにし礼さんは、昭和13年に旧満州、今の中国東北部に生まれ、終戦後、日に引き揚げました。 東京の大学に入学してからシャンソンの翻訳を始め、大学卒業後に作詞家となり、由紀さおりさんの「手紙」や、いしだあゆみさんの「あなたならどうする」など、男女の複雑な恋愛感情を情感豊かにつづった作詞で数々のヒット曲を生み出しました。 このほかにも、北原ミレイさんの「石狩挽歌」や、菅原洋一さんの「今日でお別れ」、細川たかしさんの「北酒場」など、なかにしさんが作詞した歌は4000曲以上に上ります。 昭和60年代に入り格的に小説やエッセーなどを書き始め、明治から昭和初期の長崎の花街を舞台にした「長崎ぶらぶら節」で、平成12年に直木賞を受賞しました

    作詞家 なかにし礼さん死去 82歳「北酒場」「石狩挽歌」など | おくやみ | NHKニュース
  • 追悼:英作家ジョン・ル・カレ氏 スパイ小説で弱い人間を描き続け - BBCニュース

    スパイ小説の大家として知られる英作家ジョン・ル・カレ氏が12日夜、肺炎のため89歳で亡くなった。名はデイヴィッド・コーンウェル。東西冷戦中に英情報部で働いた経験をもとに次々と発表した小説は、決して華やかなどではなく、冷徹で陰惨で時にみじめですらある諜報活動の世界を描き出すものだった。 ル・カレ氏は徹底的な調査と、卓越した文章力によって、プロの情報部員が生きる薄暗いたそがれの世界を次々に描いた。それは「007」的なきらびやかさやアクション、ロマンスなどはない、覚束ない薄明かりの中で敵と味方も、愛と憎しみも、善悪の違いもはっきりしない世界だった。

    追悼:英作家ジョン・ル・カレ氏 スパイ小説で弱い人間を描き続け - BBCニュース
  • 関西大学

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  • 「折りたたみ北京」の郝景芳による、中国から見た1984年──『1984年に生まれて』 - 基本読書

    1984年に生まれて 作者:郝景芳発売日: 2020/11/24メディア: Kindle版この『1984年に生まれて』は、郝景芳によって書かれた、中国の1984年前後から00年代頃までの情景が描かれていく長篇小説である。郝景芳はヒューゴー賞を受賞した「折りたたみ北京」をはじめとし、日でも単独短篇集である『郝景芳短篇集』が白水社から刊行、この長篇も刊行され、と世界的に人気の高い中国作家の一人だ。 で、書は実際に1984年に生まれの著者による「自伝体小説」である。自伝体小説とは、あったことをそのまま自伝として描くわけではなく、その時代、その年齢であった時に感じたことや経験を別の外面的イベントに乗せ、フィクションとして描いていくもののこと。著者のあとがきによると次のような部分に注目した小説だ『物事のディティールは服の上に身につける帽子や帯にすぎず、その事柄に対してどう感じるかということこそが

    「折りたたみ北京」の郝景芳による、中国から見た1984年──『1984年に生まれて』 - 基本読書
  • 作家・小林泰三先生ご逝去のお知らせ

    2020年11月23日(月)、SF、ホラーからミステリまで幅広く活躍された作家の小林泰三氏(58歳)が大阪府内の病院で逝去されました。癌で闘病中でした。葬儀は近親者で営みました。代表作に『玩具修理者』『アリス殺し』などがあります。 小林氏は1962年、京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日ホラー小説大賞短編賞を受賞しデビュー(名は筆名に同じ)。2011年刊の『天獄と地国』で、また16年『ウルトラマンF』でそれぞれ第43回、第48回星雲賞(日長編部門)を受賞。また、13年刊の『アリス殺し』で2014年啓文堂書店文芸書大賞を受賞する。他に『海を見る人』『大きな森の小さな密室』『パラレルワールド』『人外サーカス』『未来からの脱出』などの著書があります。

  • 「愛が一番というのは嘘」63歳で初小説を発表した芥川賞作家・若竹千佐子が語る(此花 わか)

    2017年、8年の年月をかけて完成した小説『おらおらでひとりいぐも』で作家デビューを果たした若竹千佐子さん。63歳にして文藝賞を受賞し、その翌2018年にはなんと芥川賞も受賞している。60万部突破のベストセラーとなった作は田中裕子主演で映画化され、現在公開中。脇を固めるキャストも蒼井優や東出昌大と豪華な顔ぶれだ。 作は、子供たちが巣立ち、やっと夫婦水入らずで残りの人生を楽しもうと思っていた矢先に夫・周造に死なれ、心にぽっかりと穴が空いた75歳の「桃子さん」が主人公。ひとり暮らしの彼女の頭のなかで拡がる会話で進むストーリーは非常に内省的だが、東北弁のリズムが軽快で、桃子さんが発する一言一言が人生の示唆に富んでいる。 原作者の若竹さんもまた東北の出身で、55歳のときに夫に先立たれている。哀しみにくれ、自宅に引きこもっていた彼女を見かねた息子さんから小説講座を勧められたことがきっかけで、

    「愛が一番というのは嘘」63歳で初小説を発表した芥川賞作家・若竹千佐子が語る(此花 わか)
  • 『京都に女王と呼ばれた作家がいた』時代の寵児を描いた覚悟の評伝 - HONZ

    山村美紗の訃報は衝撃的だった。1996年9月、帝国ホテルで執筆中に心不全を起こし62歳の生涯を終えた。 超売れっ子の作家の死は大騒動となる。亡骸は京都に戻り、ゆかりのお寺で葬儀が営まれ、参列者には出版関係者はもとより、テレビ映画関係者や俳優たちが大勢集まった。 参列者が驚いたのは「美紗さんにご主人がいた」こと。喪主は夫の巍(たかし)であった。 華やかな山村美紗の実生活は謎に包まれていた。京都東山に西村京太郎と隣同士で住んでいたのは有名だが、その間柄は近しい編集者でも知る人はいなかった。だが、ふたりはタッグを組んで出版社と交渉を行っていたのは事実だ。流行作家が出版社と対等に渡り合った稀有な例かもしれない。 書の著者、花房観音は京都在住の作家である。2010年、第一回団鬼六賞を受賞してデビューした。の打ち合わせの折、京都在住で京都を描く女性作家は山村美紗以来だ、と言われたそうだ。その後も

    『京都に女王と呼ばれた作家がいた』時代の寵児を描いた覚悟の評伝 - HONZ
  • 俺ガイルがなんでこんなに流行したかわからない【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。考察】|ミゲル

    数多の作品が生まれ、忘れられていく。そんな流動的なオタクカルチャーの中で、「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」は(これは原作の話だが)累計発行部数1000万を叩き出すという大ブームを巻き起きした。 ラノベ版は2011年から、アニメ版一期は2013年から放送開始した。我々と俺ガイルは、7年、9年の付き合いになろうとしている。 ここまでの年月、人々の興味に根を下ろし、完結時に大きな騒ぎを巻き起こした。俺ガイルはもはや、一過性のブームでは片付けられない領域へと達した作品なのだろう。 が、俺はどうしても、「何故ここまで流行したのか?」ということを解せないでいる。何故他のライトノベル、深夜アニメ、ラブコメを差し置いて、俺ガイルは支持を得たのか。 始めに言っておく。その答えは出たのか出なかったのか、考えてみたが、わからなかった。 わからないが、答えが出せなかった理由、「やはり俺の青春ラブコメは

    俺ガイルがなんでこんなに流行したかわからない【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。考察】|ミゲル
  • 『小説家が生き残るのに禁句が2つある』//1つ、「売れない」と言う人は消える。2つ、「仕事ください」と言う人は消える

    鈴木輝一郎@『何がなんでも長編小説が書きたい!』(河出書房新社)発売中! @kiichiros 小説家業界で生き残るのに禁句が2つある。「売れない」と自分でいう人は消える。「仕事ください」と言う人は消える。 請負仕事なんで、「売れない」って言う人に注文する出版社はいない。仕事はもらうもんじゃなくて作るもんだ。(鈴木輝一郎小説講座) 2020-09-13 02:03:27 浅井ラボ@されど罪人は竜と踊る24(2023年2月17日発売) @AsaiLabot2 これは当にそう思う。「売れない」と言う人に依頼しない。「仕事ください」と言うと足下を見られる。 だからいつも調子の良いふりをして、向こうから「やりませんか?」とならないと死ぬ。それが娯楽業の鉄則で、かつ苦しいところ。 2020-09-13 02:38:55 浅井ラボ@されど罪人は竜と踊る24(2023年2月17日発売) @AsaiLa

    『小説家が生き残るのに禁句が2つある』//1つ、「売れない」と言う人は消える。2つ、「仕事ください」と言う人は消える
  • 予知能力を持った一人の女性の人生を2043年まで描きあげた『クラウド・アトラス』著者による幻想文学──『ボーン・クロックス』 - 基本読書

    ボーン・クロックス 作者:デイヴィッド ミッチェル発売日: 2020/08/20メディア: Kindle版この『ボーン・クロックス』は、19世紀から第二次世界大戦前、1970年代に現代ロンドンと幅広い年代&場所&職業の人間を通して一枚の複雑な絵を描きあげた『クラウド・アトラス』で知られるデイヴィッド・ミッチェルの6作目の小説である。これまでの作品と同じく、複数の時代や特殊能力を持つ人間を語り手に据えながら、パズルが組み上がっていくように大きな世界を築き上げてみせる、壮大な幻想文学だ。 最初の舞台になるのは1984年、イギリスのケント州で暮らす当時15歳のホリー・サイクスだ。親に年上の彼氏との交際に反対されたことから思春期らしい反抗性で家出を決意。その直後信じていた恋人に浮気が発覚して裏切られ、親を少し懲らしめてやるためにも、頼れる人がいない中数日間なんとか一人で生きていこうと四苦八苦するの

    予知能力を持った一人の女性の人生を2043年まで描きあげた『クラウド・アトラス』著者による幻想文学──『ボーン・クロックス』 - 基本読書
  • 武田綾乃「おはようおかえり 京は猫日和」 第2回「文豪の猫」(下) | 小説丸

    東京でイラストレーターの友達とルームシェアすることになったのは、大学卒業のタイミングだった。デビュー時からお世話になっている編集さんの勧めで、ノリで上京した。東京での暮らしは楽しかったが、バロンと離れ離れになってしまうことは悲しかった。は忘れっぽいというから、私のことなんてすぐに忘れてしまうのではないかと心配で仕方なかった。 だが、母親からの電話でそれが杞憂であることを知った。「バロンが今日、玄関にダッシュしてたのよ」と電話越しに母は言った。「ヤクルトのお姉さんがうちに営業に来たんやけど、声が高いからアンタやと思ったんやろね。お姉さんの顔を見てめちゃくちゃガッカリして、リビングにトボトボ戻って行ったで。可哀想やったわ」やけにしんみりと言われ、私もすぐさまバロンに会いたくなった。人間とは電話でいつでも喋れるのに、動物には電話であることが通じないのが悲しい。私の声を探して家の中を彷徨うバロン

  • 武田綾乃「おはようおかえり 京は猫日和」 第1回「文豪の猫」(上) | 小説丸

    エッセイの連載が始まった。こういう連載は初めてなので何を書くか悩んでいたが、そういえば大学生作家時代のことなんかはあまり文字にしたことがなかったな、と今更ながら思った。なので学生時代の思い出なんかを振り返って書こうかと思っている。 私は二十歳の時にを出版し、今年で七周年になる。京都の宇治で生まれ育ち、宇治で生涯を終える気満々だったのに、流れに身を任せてなんとなく生きていたら何故だか上京することになっていた。大学生作家とちやほやされた期間はとっくに過ぎ、気付けばアラサーだ。その割に、大した社会経験を積んだわけでもなく、運よく得られた仕事に生活の大半の時間を費やし、ダラダラと生きている。実際問題どうなんだろうな~、こういう人生って。なんて考えたりもしつつ、実家のに会うために三か月に一度は京都に帰っている。そしてお気に入りの茶屋で京番茶とほうじ茶をしこたま買い込み、また東京で働く日々だ。 実

  • と学会の興亡・その四 - 山本弘のリハビリ日記(山本弘) - カクヨム

    僕かと学会をやめようと決心したある事件がある。 その頃、と学会の例会はある駅の5階か6階(もう記憶か曖昧だ)にあった。そこまで上るのはもちろんエレベーター。ちょうど季節は2012年の春。窓の外には完成が近づいた東京スカイツリーがよく見えた。僕はその日、一人のと学会会員といっしょにエレベーターにのった。 「もうじき完成てすね、スカイツリー」 するとその若者はこう言ったのだ。 「最初にスカイツリーを壊しに来るのはどんな怪獣なんでしょうね?」 僕は息が止まるほどのショックを受けた。 スカイツリーを壊しに来る怪獣? そんなもの決まっている。怪獣6号ゼロケルビンだ。チルソギーニャ遊星人に操られて東京に襲来、スカイツリーの上でヒメと激戦を繰り広げるのだ……。 そう、『MM9』の続編『invasion』。僕はそれを2011年に描いた。スカイツリー完成の前の年だ。当然、僕の読者なら知っているはずだ。 僕は

    と学会の興亡・その四 - 山本弘のリハビリ日記(山本弘) - カクヨム
  • 文房具屋のおじいさん|青木杏樹

    2015年の春のこと。 わたしはまだ青木杏樹ではなく、ただ趣味小説を書いている人でした。毎日毎日、400字詰め原稿用紙を20枚ワンセットを消費しては、文房具屋に買いに行きました。帰宅するとまた明け方まで20枚消費し、日が高くなる頃には買い足しに行く日々が続きました。 小説とは応募するもの、小説とは他人に読んでもらうもの、という考えがわたしにはありませんでした。 わたしの中には小さな世界がごまんとあり、その世界で生きている人たちはたえず呼吸をしていて、畑を耕し、水を飲み、作物を売ったり買ったりしていました。ときには殺し合って世界は消えてしまうこともありました。そうした流動する世界線がいくつも走り、絡み、まじり、繰り返す、衝動にも近い意識と妄想がするすると動くものですから、歴史をつむぐように彼らの証をのちのちまで残せないものかと考えたのがどうもわたしの執筆の原点のようです。つまり応募する、評

    文房具屋のおじいさん|青木杏樹
  • 『京都に女王と呼ばれた作家がいた』男たちはなぜ彼女に魅了されたのか - HONZ

    このの帯は傑作だ。そこにはこう書かれている。 「京都で人が殺されていないところはない」 1200年の歴史を繙けば、戦乱で都が荒廃した時代もあるし、いかにもそこら中で人が死んでいそうだが、これは小説の話だ。 京都に住み、京都を舞台にしたミステリーを書き続けた作家といえば、山村美紗である。22年間の作家生活の中で200冊以上のを出し、売り上げは3200万部を超え、100以上がドラマ化された。派手なドレスに身を包み、名声をほしいままにするその姿は、まさに「ミステリーの女王」の名にふさわしかった。1996年に62歳の若さで亡くなったが、間違いなく一時代を築いたベストセラー作家だった。 だが、キャラが立ち過ぎていたせいか毀誉褒貶も激しかった。 ゴシップのほとんどは雑誌『噂の真相』が発信源だったと記憶する。大手の出版社には「作家タブー」があると言われる。利益をもたらすベストセラー作家を怒らせるの

    『京都に女王と呼ばれた作家がいた』男たちはなぜ彼女に魅了されたのか - HONZ
  • ヴァージニア・ウルフ「病気になるということ」片山亜紀訳/新訳・解説公開|Hayakawa Books & Magazines(β)

    編集部より 早川書房は、20世紀を代表する作家ヴァージニア・ウルフが1926年に発表したエッセイ「病気になるということ(原題:On Being Ill)」の新訳と訳者解説を全文公開します。 約100年前、世界各国で大流行したというインフルエンザ。1918年から20年頃にかけては「スパニッシュ・インフルエンザ(いわゆるスペイン風邪)」と呼ばれるインフルエンザが流行り、第一次世界大戦の末期から停戦後にかけ、世界中に蔓延したといわれています。 ヴァージニア・ウルフもスパニッシュ・インフルエンザに罹患したと推測されています。彼女はその前後の数年のあいだに繰り返しインフルエンザにかかりました。1925年にまたもやインフルエンザにかかった際に、個人的な病気との向き合い方や、病気のときに読むべきなどをエッセイに記し、パンデミックの記憶もまだ新しい当時の人々に提示しました。 エッセイは、いわゆるパンデ

    ヴァージニア・ウルフ「病気になるということ」片山亜紀訳/新訳・解説公開|Hayakawa Books & Magazines(β)
  • 大ヒット中国SF『三体』を生んだ劉慈欣「私の人生を変えた5冊の本」

    <2015年にヒューゴー賞を受賞し、世界的なベストセラーとなった『三体』の著者、劉慈欣が綴る「自分をSF作家の道へ歩ませた5冊の書物」。意外にも、その1冊はSFではない。誌「人生を変えた55冊」特集より> 書籍が各人に与える影響はさまざまだが、自分の人生の道を決定するこそ最も重要である。一人のSF作家として、私は自分をSFの道へ歩ませた書物を紹介したい。 まずジュール・ベルヌの大機械小説。ベルヌのSF小説はその対象から大きく2つに分類できる。1つは科学探検小説、もう1つは大きな機械を描写する小説。後者はよりSF的内容を備えており、私に最も大きな影響を与えたのが『海底二万里』である。 『海底二万里』 ジュール・ベルヌ[著] 邦訳/岩波書店ほか (※画像をクリックするとアマゾンに飛びます) このタイプの小説に現れる大機械は、等しく18〜19世紀の蒸気技術と初期の電気技術を基礎としている。お

    大ヒット中国SF『三体』を生んだ劉慈欣「私の人生を変えた5冊の本」