上野泰也(うえの やすなり) 1985年上智大学卒。86年会計検査院に入庁。88年富士銀行(現・みずほ銀行)に転じ為替ディーラーを経て90年からエコノミスト。2000年10月から現職。著作多数。機関投資家の評価も高く、また、具体的な事象を挙げて経済をわかりやすく解説することで定評がある(撮影:梅谷秀司) 安倍政権は「企業収益の拡大から賃金の上昇、消費の拡大という好循環を継続的なものとし、デフレ脱却を確実なものとする」ことを掲げている。そのために、日本銀行は2年で2%の物価目標の達成を目指し、「量的・質的金融緩和」を実施しているが、円安は進んだものの物価目標の達成には程遠い。また、安倍政権は2014年、2015年の春闘で経済団体連合会などにベアの実施、賃上げを要請し実現させているが、「毎月勤労統計調査」によれば現金給与総額はリーマンショックの前に比べて一段低い水準にとどまっている。
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