起業人を取材してきて分かったのは、彼らを取材するほかのメディアの人々が想像もせず、聞きもしない分野があるということだ。 以前、「ITセレクト」誌で取材したネクシィーズ社長の近藤太香巳さんは、渋谷の一等地のビルに会社を構え、ある種の起業人の類型ともいえる雰囲気をもっていた。 「ある種の」というのを具体的に説明するのが難しいが、近藤さんの場合、連想する人物でたとえると矢沢永吉と本宮ひろ志だった。若いころに少しヤンチャをし、決してインテリではないが、一種のカリスマ性があって、「したいこと」を見つけてのしあがるときのパワーと集中力がすごい。 近藤さんは、僕の前に座るなり、たぶんいつも講演などでやっているのだろう調子で一気にまくし立てた。人の眼を見て、人心をつかむコツには自信をもっている。なるほど、彼自身がいうように「若い人」や老人を泣かせる力はあるのだろうと思う。でも、それじゃ僕の取材にはならない