<野生動物の取引は、いわば病原体のデパート。取引が続く限り、未知の人獣感染症が世界的なパンデミックを起こす可能性はなくならない。本誌3月17日号の特集「感染症vs人類」より> エボラ出血熱、炭疽、腺ペスト、SARS(重症急性呼吸器症候群)、新型肺炎。これらはみな動物から人にうつる「人獣共通感染症」だ。人の免疫系には未知の病原体だから、しばしば重篤な症状を起こす。 中国・武漢で集団感染が発生した新型コロナウイルスは野生のコウモリ由来とみられているが、人への感染を媒介した中間宿主は分かっていない。漢方薬の材料として密猟され、絶滅が危惧される哺乳類センザンコウの押収された検体から遺伝子配列が近いウイルスが検出されたが、媒介したという確証はない。 中間宿主が希少な動物であれ、豚など身近な動物であれ、確実に言えることがある。狭い場所にさまざまな動物が詰め込まれれば、病原体が種から種へと飛び移り、突然
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