最後の砦と思っていい 東京・秋葉原――アイドルやアニメショップが建ち並び、電気街のイメージが薄まりつつある中で気を吐いているショップがある。ヘッドフォン・イヤフォン専門店「e☆イヤホン」。その一角で、毎日のようにハンダごてをふるい、ヘッドフォンの修理やカスタマイズを行う職人がいた。ヘッドフォンドクター、稲垣雄太。日本中から修理やカスタマイズの依頼が舞い込む。 稲垣は自分の仕事を“修理屋”と言う。始めたきっかけは、ソニーのプロフェッショナルモニター「MDR-CD900ST」だ。音楽制作のプロフェッショナルたちが愛用しているヘッドフォンは、それだけに長く愛用している人が多く、それだけ壊れることもある。「e☆イヤホン」は、もともと「MDR-CD900ST」の補修用のパーツを扱っていたが、頼ってくる客にパーツだけを販売する状態に稲垣は疑問を感じていた。「パーツだけあって修理ができないのはおかしい。
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