以前、当欄で校閲の話を書いたことがある。ふだん他の人が書いた原稿をチェックすることはあっても、他社の校閲に、自分の文章を校閲してもらうことはあまりない。他社から出す本や雑誌に原稿を書くことはあるのだが、最近の編集者はほとんどアカを入れてくれないのだ。文章をチェックしないことはないだろうから、細かなことはパスして、著者の文章を大事にしているのだろう(よくいえば)。※アカとは赤色のペンで書き込むことから、修正や提案のことをそう呼ぶ。編集者と校閲者の共同作業である。 最近、朝日新聞社が出している『世界の車窓から DVDブック』というシリーズに、シベリア鉄道の記事を書いた。そしたら、どっとアカの入った原稿が返ってきた。他社のために書いた原稿に、これだけアカの入ったものを見たのは何年ぶりのことだろうか。感動した。こんなに丁寧に読んでもらえるなんて、書いた本人としてはうれしい限りである。 例えばこんな