入管法改正案の審議の影響で、性暴力の実態に沿って性犯罪の規定を見直す刑法改正案などの成立が危ぶまれる情勢になり、法改正を働きかけてきた性被害者らが気をもんでいる。【菅野蘭】 2017年、性犯罪を規定する刑法は110年ぶりに改正された。ただ、被害者の抵抗を著しく困難にさせる「暴行や脅迫」の有無などが性犯罪の成立要件であることは変わらなかったため、抽象的で解釈に幅が出るとの批判があった。 今回の刑法改正案は、強制性交等罪と準強制性交等罪を統合して「不同意性交等罪」へと罪名を改称し、成立要件を明確化した。盗撮行為を規制する「撮影罪」を盛り込んだ新法案も含めた関連法案は5月30日、衆院本会議で全会一致で可決された。