無人走行を目指した自動運転車の実験が国内各地で進む中、関係者を苦しめているのが高額な人件費だ。「運転手」とともに「保安要員」の乗車が一般的な上、遠隔の「監視員」も要る。過疎地の“足”になると期待して実験に取り組む地方自治体にとって、重くのしかかる人件費は、本格的な実用化に欠かせない長期間の実験の足かせとなっている。 人口約2万5000人の地方都市、茨城県境町がソフトバンク子会社のBOLDLY(ボードリー、旧SBドライブ)やマクニカと協力し、2020年11月に自動運転バスの定常運行を開始した。警察庁が定めた「実証実験」の枠組みを使った取り組みだが、境町は5年間の長期にわたる計画であることから「実用化」と位置付ける。 境町が3台の自動運転バスを購入し、5年間分の運行や維持の費用を含めて5億2000万円と多額の予算を確保した。境町長の橋本正裕氏は「境町には鉄道の駅がない。住民の足として自動車は欠