非主業稲作農家がTPP参加で廃業に追い込まれる可能性が高い事は以前に解説した(関連記事:TPPに参加反対の『既得権益者』は誰?)が、漁業者にもTPP反対が広がっているようだ(日本海新聞)。しかし、数字的にはTPP参加で水産業が衰退する可能性はほとんど無いと言って良い。 現在の輸入水産物にかけられている関税は9.6%程度しかない。高いもので、イカとクラゲが15%、安いもので甲殻類が4.8%と幅があるが、関税によって内外価格差はほとんど発生していない(輸入統計品目表(実行関税率表)実行関税率表(2011年8月版))。米は402円/kgかかっているが、国内生産者価格が300円/Kg程度なので、輸入すると即競争力が無くなる関税率だ。これに比べれば水産品の関税など誤差に等しい。 輸入額は2010年で13,709億円、輸出額は1,950億円だ(農林水産省)。国内生産高は2009年で14,702億円程度