三人寄れば…… 基本的に、集合知そのものは昔から活用されているものだ。そして、おそらく明示的な形ではなくても、多くの人が日常的に利用しているものでもある。 たとえば、ぼくは開発援助の仕事で、しばしばインドやアフリカに大人数の調査団に混じってでかける。ご存じの方もいるだろうが、インド英語やアフリカ英語はかなりクセが強く、またそもそも英語が苦手な相手もしばしばいる。そしてこちら日本人チームの大半も、必ずしも英語が完璧なわけではない。ぼくも自分の担当者とのやりとりが必要なので、いつも英語苦手チームを助けるわけにもいかない。するとどうなるか? 先方は、こちらの質問票にしたがって1つずつ、まったく手加減なしのインド英語やアフリカ英語で返事を(かなり長々と)よこす。日本側の英語苦手チームは、もちろんすぐにはそれがほとんど聞き取れない。だが、そこでちょっとおもしろいことが起こる。 まず一同は黙って顔を見