ここ最近、東京・築地市場で不穏な動きがあるという。仲卸業者A氏が浮かない表情でこう話す。 「岩礁帯に生息し、普段はそう多く揚がらない“根魚(ねざかな)”が異常に多く競(せ)り場に並ぶんだ。アイナメ、ドンコ、深さ100mほどの海底にいるメヌケ……」 大漁でめでたいんじゃないのか? 「実は……」と、A氏が小声でさらに続ける。 「去年もそうだった。3月11日の1ヵ月ほど前から、三陸産の根魚が異常なほど入ったんだ。最初は『なんだ?』と思う程度だったが、水揚げが日に日に増えるにつれて“嫌な予感”がしてきた。そして、あの巨大地震だ。ここ数日、根魚の入りは少し落ち着いているが、仲間内であえずガソリンは備蓄しとけ!』なんて言い合ってるよ」 つまり、地震を察知した大量の根魚が、網に入る層まで浮上して“避難”していると? その漁場はどこなのか? 「ひとつは相模湾を漁場にする三浦半島の佐島(さじま)。そして、よ