ミシェル・ジョリヴェ『移民と現代フランス』(集英社新書、2003年) 上智大学で受け持つ講義「現代フランス社会研究」の準備のために長い時間をかけて行った研究や調査の成果だと冒頭で説明されている。著者自身が子供時代からずっとアフリカ、フィリピン、台湾などの外国で暮らし、「外国人」であったことが、こうした問題への積極的かつ自発的な問題意識を培うことにもなったとのことである。 フランスの移民問題は、移民の数からいえばEU加盟国のなかからが多いとはいえ、もともと宗教的にも文化的にもさほどの違いがないので問題になってこなかった。やはり昨今さまざまな問題を引き起こしているのはイスラム圏とりわけかつての植民地であったアルジェリアからの移民である。 1999年の資料だと、移民は431万人。そのなかでフランス国籍を取得していない移民が275万人。さらにフランスで生まれた外国人が51万人いる。この後者の326