今日、外国人労働者問題への対応は先進諸国にとって共通の課題となっており、わが国でも外国人労働者の雇用ルールを見直す雇用対策法が 2007年に改正されるなど、外国人労働者の雇用環境の改善を図る取組みが始まっています。 当機構では、2005年にドイツ・フランス・イギリス・イタリア・オランダの5カ国を対象に、移民の受入れ制度と社会統合政策に関する調査を行い、その成果を労働政策研究報告書No.59 『欧州における外国人労働者受入れ制度と社会統合―独・仏・英・伊・蘭5カ国比較調査』(2006)としてまとめました。同調査では欧州諸国の移民政策がどのような変遷をたどり、受け入れた移民をどのように自国社会に統合してきたのかというテーマにアプローチしています。 また、2006年にはアジアの主要な受入れ国である韓国・台湾・マレーシア・シンガポールを対象に調査を行い、アジアにおける外国人労働者受入れ制度の特徴と
ウイグルの問題、あるいはチベットの問題についてもそうだが、いわゆる“ぷちナショナリズム”的なネット世論の中で、中国バッシングの道具として使われる傾向がある、そんな印象が私には強い。もちろん、真面目に考えている人もちゃんといる。しかし、理性的な人は静かに語るけど、思考回路が単純→声のでかい人ばかりが目立ってしまうのがこの世の常。このあたりの違和感は、水谷尚子『中国を追われたウイグル人』のあとがきでも吐露されていた。 ウイグル問題を日本人のナショナリスティックな動機から中国バッシングの道具として利用するのは、彼らの苦境を他人事して鬱憤晴らしに消費しているだけのことで、私はあまり感心できない。さらに問題なのは、事情をよく知らない日本の一般の人々に対して、ウイグルやチベットの問題→中国バッシング→ああ、右翼の人たちね、みたいな妙な誤解がイメージとして定着しかねないこと。正直に言うと、私自身もかつて
外国人生徒の日本語習得支援 自治体任せ→文科省が本腰 文部科学省は全国の小・中・高の公立学校で外国人生徒が増加傾向にあることから、これまで自治体任せだった外国人生徒に対する日本語教育の支援に乗り出す。 自治体が日本語、外国語双方に堪能な非常勤職員を雇用することを財政面などで支援し、授業の通訳や日本語の指導教室の拡充を実現しようというものだ。 文科省の調べでは、2006年5月の時点で全国の公立小・中・高に通う外国籍の生徒は7万936人。このうち、日本語が分からず授業が理解できない生徒は5475校に2万2413人いて、前年より8・3%増と、年々増加傾向にある。背景には1990年の出入国管理法改正で日系人の単純労働が可能になり、南米から入国者が増加したことがある。実際、外国人生徒の母国語別の内訳はブラジルで使うポルトガル語(38%)が最も多く、中国語(20%)、スペイン語(15%)と続く。 これ
みどりごを殺す「正義」はありや? パレスチナ占領に反対します--住民を犠牲にして強盗の安全を守る道理がどこにあろう 梁文道の「最大公約数」で在野の学者として触れられている陳思の当該論文。 陳思:サロンでのチベット事件についての討論ノート 2008年3月25日 今回のチベット自治区と他のいくつかの省のチベット人地区の各地で起こったデモと暴動について、北京政府は厳粛に中国民衆と全世界にむかって「ダライ集団が背後で計画し扇動した」確かな証拠があると言った。ネット上でも多くのコメントが、中国政府はチベットの経済開発にこれまで大きな支援をし、チベット人の生活も天地がひっくり返るような変化をしたのだから、チベット人は満足して感謝すべきだと言っている。しかし、ほとんどの人は知らないだろうが、1959年にダライラマがやむなくチベットを離れてインドに避難して以降今日に至るまで、毎年老若男女数千人が、非常食を
先日沖縄本土復帰記念日の前日、イスラエル建国60年周年記念があった。欧米紙ではいろいろ取り上げられていた。国内大手紙でも、私の見落としがなければ、朝日新聞”パレスチナ60年―難民の苦境に終止符を”(参照)、読売新聞”イスラエル60歳 現状維持では未来はない”(参照)、毎日新聞”中東紛争60年 国連にもっと大きな役割を”(参照)があった。大手紙ではないがNHKは”時論公論 「イスラエル建国60年、遠のく和平」”(参照)で触れていた。 率直なところ、平和のためには話し合いが大切、米国や国連はもっと頑張れといった感じで、どれもピンと来なかった。しいて言えば、毎日新聞が重要な問題部分に少し踏み込んでいたかもしれない。 第二次大戦後の47年、国連総会はパレスチナ地域を二つに分割する決議を採択した。これを後押ししたのは米国だが、ナチスによるホロコースト(大量虐殺)で何百万人もの同胞を失ったユダヤ人に国
例えば、大澤真幸氏は、ナショナリズムの「起源への関心」について次のように述べている(『ナショナリズムの由来』377ページ)。 ナショナリストは、ネーションの起源を、ネーションの領域からいくぶんかずれた外側に―いわば隣接的な外部に―見出す傾向がある。ナショナリズムは「起源」についての強い関心を伴う、ということについては既に述べておいた。その「起源」は、しばしば、ネーションの領土の外側に、つまり外国に位置づけられるのである。「日本人」の起源が「南島」にあるとか、ユーラシア大陸の「北方騎馬民族」にある、といったような理説が、その例である。こうした傾向は、時に、国境紛争を誘発する原因となる。起源となる聖地が外国に奪われているかのような感覚を生むからである。 現在チベットが中国(人)のナショナリズムをかきたてているかのように思えるのは、大澤の言うように「隣接的な外部」であり、それゆえに歴史的に諸外国
「民族浄化(ethnic cleansing)」という言葉は、ここ十年あまりのうちに非常に広く使われるようになり、いつのまにか、ごくありふれた言葉とさえなっている。この言葉が広まった直接のきっかけは一九九〇年代の旧ユーゴスラヴィア各地の内戦だが、その事例に限らず、それ以外の様々な事例にこの言葉を当てはめる用語法も次第に増大している。この言葉で指される事態が――その実相を突き止めるのはしばしば非常に難しいのだが、ともかく、この言葉を使う人がそこに込めようとしている意味に即していえば――悲惨きわまりない出来事であることを思えば、こうした言葉が流行語になる時代というのは不幸な時代ということになるだろう。 それにしても、もし言葉の指す意味内容が確定しているならば、悲惨な事態を正面から見据える――そして、できることならば、そうした事態をこれからは引き起こさないようにする――ためにも、そうした言葉を使
知っている人は知っているだろうが、知らない人は全く知らないだろうETLO(東トルキスタン解放機構)による中国政府への武装闘争宣言に関するニュースで、一部のブログや2ちゃんねるでの情報交換がなかなかの盛り上がりを見せていて、僕も非常に気になっている。気になっているのはもちろん事の今後の成り行きや背景のこともあるのだが、それについてはkokさんのブログなどに任せたい。 僕が気になっていることの一つ目は、欧米のメディアが温度差こそあれ(例えばロイターが配信した記事は基本的に中国政府の見解に沿ったものであったのに対して、APは東トルキスタン側にかなり同情的な報道を行っていた)、事件に関する最低限の情報を伝え、中には事件の背景となった中国新疆における民族対立についてもかなり踏み込んだ報道をしているのに対して、日本のメディアの報道貧弱ぶりがあまりにに目立つ、ということだ。例えば時事通信が流したベタ記事
Will Kymlicka and Magda Opalski (eds.), Can Liberal Pluralism Be Exported?: Western Political Theory and Ethnic Relations in Eastern Europe. ウィル・キムリッカの名はロシア・東欧研究者の間ではあまり広くは知られていないが、政治理論・法哲学などの分野では世界的に著名なカナダの研究者である(1)。その理論の概要を敢えて乱暴にまとめるなら、基本的にリベラリズムの立場に立ちつつ、従来のリベラルが軽視しがちだった集団的アイデンティティの問題を正面から見据えることでリベラリズムを豊富化しようとするものといえるだろう(2)。種々の民族・エスニシティ論、共同体論、フェミニズムなどからの挑戦を限定的に吸収しつつ、リベラルな多文化主義論を構築するのが彼の課題である。この試
政府の仕事、民間の仕事 http://d.hatena.ne.jp/mojimoji/20080420/p1 昔、この組織と関わりがあったのである。複数の職員さんにお世話になった。だから、最近の動向を心配している。 例の知事は支持率がまた上がったらしい。彼が自らの「信念」を貫きとおしさえすれば、周囲はみんな「抵抗勢力」とされていくのだろう。同じような構図をうまく活用した首相もいた。彼の「天然」なのか「策略」なのかは、知らない。 大多数の一般市民にとって、行政なんて少しばかり小さくなったって、どうってことないものなのだ。「みんなで少しずつ痛みを」なんて、できっこない。政府が単純に小さくなれば、特に分配が必要な者から苦しむことになるのは当然ではないか。「自分は払うばかりで受け取っている実感がない」から「税金が無駄遣いされている」と短絡する人々には、「再分配」の必要なんて、ほとんど理解されていな
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