奨学金を滞納する人が増えている。 昨年度の滞納額は、10年前の3倍の約4700億円に達した。長引く不況で収入が減り、返済したくても返せない人が増えたためだ。大学生の3人に1人が奨学金に頼っており、識者からは「返済の負担を軽くする工夫が必要だ」との声が上がっている。 「大学を卒業して借金だけが残った。いったい何のために通ったのか」。さいたま市のアルバイト女性(26)は、ため息をつく。 心理学を学ぶため、2005年に埼玉県内の私立大学に入学。しかし、その直前に父親が体調を崩して退職して家計が苦しくなり、日本学生支援機構から卒業まで計約240万円を借りて学費に充てた。卒業して保険会社に就職したが、上司のパワハラに耐えられず、3か月で退社。奨学金の返済が重くのしかかった。 今の収入は、スーパーのアルバイトで月約11万円。その半分近くが奨学金や生活費の借金返済に消える。女性は「仕事を辞めたのが大きな