ブックマーク / honz.jp (31)

  • 『宗教の起源──私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか』 ダンバー数、エンドルフィン、共同体の結束 - HONZ

    ロビン・ダンバーは、彼が提唱した「ダンバー数」とともに、その名が広く知られている研究者である。ダンバー数とは、ヒトが安定的に社会的関係を築ける人数のことであり、具体的には約150と見積もられている。ダンバーは、霊長類各種の脳の大きさ(とくに新皮質の大きさ)と集団サイズの間に相関関係があることを見てとり、ヒトの平均的な集団サイズとしてその数をはじき出したのであった。 さて、そんなダンバーが書で新たな課題として取り組むのが、「宗教の起源」である。人類史において、宗教はどのようにして生まれ、どのように拡大を遂げていったのか。宗教に関する広範な知識に加えて、専門の人類学や心理学の知見も駆使しながら、ダンバーはその大きな謎に迫っていく。 ダンバーも言及しているように、現生人類の歴史のなかで、宗教は個人や社会に対していくつかの利益をもたらしてきたと考えられる。その代表的なものを5つ挙げるとすれば、(

    『宗教の起源──私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか』 ダンバー数、エンドルフィン、共同体の結束 - HONZ
  • 『クロード・シャノン 情報時代を発明した男 』情報時代の本質とその未来を考えるために - HONZ

    私が中学生だった頃、数学の先生が1と0だけで数を表現する二進法を教えてくれた。この1と0を電流が流れている状態、または切れた状態に対応させると、全ての数を電流のオンオフ組み合わせで表せるという。これを利用したのがコンピュータだと聞いて、私はいたく感動した。 その考え方を世界で初めて提示したのが、書の主人公シャノンである。現代社会に不可欠のパソコン、携帯電話、DVDの全てが、彼なしにはありえなかった。 二進法の最小単位はビットと呼ばれ、文字や画像などの情報はビットの組み合わせで表現できる。情報量の単位としてビットを初めて導入したのがシャノンで、現代のデジタルコンピューターはビットを8個集めた8桁分の巨大情報をバイトという単位で扱う。 書は「情報理論の父」と呼ばれる天才数学者の評伝で、著者はハフィントン・ポスト元編集長などを務めた名うてのジャーナリストである。シャノン以前にも情報という概念

    『クロード・シャノン 情報時代を発明した男 』情報時代の本質とその未来を考えるために - HONZ
  • 本のない原初の図書館から空想上の図書館まで──『図書館巡礼 「限りなき知の館」への招待』 - HONZ

    図書館巡礼という名の通り、書は世界各地の図書館について、のない時代からボルヘスによって想像されたバベルの図書館のような空想上の図書館まで、幅広く取り扱っていく一冊である。原題は『THE LIBRARY A CATALOGUE OF WONDERS』。『何にもまして私たちが痛感したことは、図書館は物語にあふれているという事実だ。生と死の、渇望と喪失の、信念を貫く、あるいは枉げる物語。考えうるありとあらゆる人間ドラマの物語だ。そして、複雑でフラクタルな、世代を超えた道筋を介して、すべての物語は相互に繋がっているのだ。』 の構成としておもしろいのは、1から10まで図書館の話というわけではなく、章の合間に数ページほどの「」にまつわる短いエッセイやエピソードのようなものが挟まれていること。なので、図書館についてのであると同時に、一種の書物狂いたちの物語でもあるのだ。たとえば、「愉悦」と題さ

    本のない原初の図書館から空想上の図書館まで──『図書館巡礼 「限りなき知の館」への招待』 - HONZ
  • 『大英帝国の歴史』イギリスの人気歴史家、ニーアル・ファーガソンの出世作がついに翻訳! - HONZ

    『憎悪の世紀』『マネーの進化史』『文明』などで有名なイギリスの歴史家、ニーアル・ファーガソンの新刊である。最も書は国イギリスで2003年に出版されていた作品だ。連動して制作されたテレビ・ドキュメンタリー『EMPIRE: How Britain Made the Modern World』ではニーアル・ファーガソン自身が番組の案内役として出演し英語圏各国で多くの視聴者を得た。まさに、ニーアル・ファーガソンの出世作といっていい作品なのである。 そのテーマも壮大で、400年に及んだイギリス帝国の発端から終焉までを政治、軍事、経済、宗教と縦横無尽に駆け巡り論じ、ミクロとマクロの視点を交互にしながら、なぜイギリスが大帝国を築くことができたのか、そして、イギリスが作り上げた帝国は歴史上どんな意義があったのかと、問いかけていく。 特に2点目の帝国の意義という問いかけは大変に難しいものであろう。現代社

    『大英帝国の歴史』イギリスの人気歴史家、ニーアル・ファーガソンの出世作がついに翻訳! - HONZ
  • 『成績をハックする:評価を学びにいかす10の方法』学びの再起動ボタン - HONZ

    書はニューヨークで英語やジャーナリズムを教える高校教師が、成績を用いず、生徒を評価する挑戦を行った記録である。通知表を捨て、成績をつけないクラスの実験を5年ほど前にはじめた。 淡々とコンパクトに実践の記録をまとめているが、時折顔をのぞかせる著者の成績に対する意見は核心を射抜いている。 成績は、生徒を動機づけたり、罰したりするのに使われます。生徒がしたくないことをさせるために存在する極めて強力なツールなのです 成績は成長を大切にせず、生徒を互いに対抗させるという競争に基づく学習文化を生み出す 保護者はよい成績をとることが成功することであると思いこんでいる。そして、それを子どもたちにも教える 成績は生徒にとってではなく、結局のところ教師にとっての強力な武器でしかありません とはいえ、教師が成績をつけるというのは聖域であり、変更が難しいアーキテクチャーである。そして、教師だけでなく、生徒自身も

    『成績をハックする:評価を学びにいかす10の方法』学びの再起動ボタン - HONZ
  • 「図書館の隠れたポテンシャル」を引き出す4冊 - HONZ

    図書館の隠れたポテンシャル」を引き出す4冊『知の広場』『サブジェクト・ライブラリアン』『情報リテラシーのための図書館』『シリアの秘密図書館』 机は勉強する大学生や高校生に占領され、読みたいはだいたい貸出中、音を立てれば「シーッ!」と怖い目で睨むメガネをかけた図書館員、映画で登場する図書館の典型である。 インターネットで検索すれば欲しい情報がすぐに手に入ってしまう時代に、日を含む世界各国の図書館は生き残りをかけて、古いイメージから脱却しようと挑戦している。の虫だけを相手にしたサービスでなく、幅広い層に利用され、図書館ならではの専門性を活かした問題解決を行い、知識社会を生きる市民のサポーターとして、なくてはならない存在になろうとしている。 存在意義と役割をアップデートしようとする試行錯誤の過程を明らかにし、スペース、サービス、教育、社会的意義の切り口から図書館の高いポテンシャルを解放す

    「図書館の隠れたポテンシャル」を引き出す4冊 - HONZ
    min2-fly
    min2-fly 2018/03/27
    「どれどれ」と思ったら文句のつけようもない4冊が出てきた・・・
  • 『サルは大西洋を渡った──奇跡的な航海が生んだ進化史』 大海原という障壁を越えて進出する生物たち - HONZ

    「ありそうもないこと、稀有なこと、不可思議なこと、奇跡的なこと」。生物地理学者のギャレス・ネルソンはかつてそんな言葉でそれを嘲笑したという。だが実際には、どうやらそれは生物の歴史において何度も生じていたようだ。それというのは、生物たちによる長距離に及ぶ「海越え」である。 書が挑んでいる問題は、世界における生物の不連続分布である。世界地図と各地に生息する生物を思い浮かべてほしい。大西洋を挟んで、サルはアフリカ大陸にも、南アメリカ大陸にも生息している。また、「走鳥類」と呼ばれる飛べない鳥たちは、南半球の4つの隔たった地域に分布している。さらに、ガータースネークはメキシコ土で見られるが、そこから海で隔てられたバハカリフォルニア半島の南部にも生息している。 そのように、系統的に近しい多くの生物が、海などの障壁で隔てられた、遠く離れた地域に生息している。しかしそうだとしたら、彼らはいったいどうや

    『サルは大西洋を渡った──奇跡的な航海が生んだ進化史』 大海原という障壁を越えて進出する生物たち - HONZ
  • 『動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか』 進化認知学、そして「唯一無二の人間」という見方からの脱却 - HONZ

    「動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか」。ずいぶん挑戦的な問いかけであるが、書の内容もそれに負けず劣らず挑戦的である。 フランス・ドゥ・ヴァールは、ベストセラー『チンパンジーの政治学』といった著書もある、世界的に著名な霊長類学者である。そんな彼が書で試みていることはおもにふたつある。ひとつは、彼の提唱する「進化認知学」というアプローチを明らかにすること。そしてもうひとつは、「唯一無二の人間」という見方(ないし偏見)を克服することだ。 第一の点について、象徴的なエピソードから始めよう。テナガザルは樹上性の小型類人猿で、ヒトや大型類人猿とも近縁な存在である。だがそんなテナガザルが、かつて行われた認知テストで意外なほど成績がわるかった。そのテストとは、棒を拾い上げてべ物を引き寄せるという一見単純なものである。では、そんなテストでさえうまくパスできないのだから、テナガザルは「愚か」だというこ

    『動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか』 進化認知学、そして「唯一無二の人間」という見方からの脱却 - HONZ
  • 円城塔、田辺青蛙による夫婦読書リレー──『読書で離婚を考えた。』 - HONZ

    円城塔、田辺青蛙の小説家夫婦が、課題を出し合い交互にそのについてのエッセイを連載することによって、夫婦の相互理解につとめる。そんなコンセプトではじまったWeb連載が一冊にまとまったのが書である。かたや理系で、わけのわからない抽象的な小説を書くと評判の円城塔さん、かたやホラー・怪談作家で読むとしては実話に近いものを好む傾向がある田辺青蛙さんと、書くものも読書傾向もさっぱり合わない二人だが、はたして読書で相互理解は進むのか!? 攻撃としての相互理解 ……といえば、相互理解はなかなか進まない! そもそも好きなんか数百冊読むような人たちが集まったところでお互いの趣味領域が一致することは稀である。その上、確かにスタート時点ではコンセプトが「読書で夫婦間の相互理解を図ろう」となっているし、実際連載の中でもそのコンセプトは立ち戻るべき母艦として何度も繰り返されるのだが、二人の相手へのオススメ

    円城塔、田辺青蛙による夫婦読書リレー──『読書で離婚を考えた。』 - HONZ
  • 『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』受け身であること、それは最高のエンターテイメントである - HONZ

    「HONZで紹介するって、どんな基準で選んでいるんですか?」そう聞かれることは結構多いのだが、いつも歯切れの悪い回答になってしまう。 むろん小説はのぞくとか、いかにもなビジネス書は紹介しないとか、ジャンルとしての縛りは色々あるのだが、それだけが重要なわけではない。要は、難解なサイエンスや分厚い歴史ばかりをスラスラ読みこなす小難しい集団、そんな風に思われることは絶対に避けたいのだ。 しかし今なら一冊のを差し出しながら、「こんなだよ」と自信を持って伝えることが出来るだろう。それが書『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』だ。 無駄に面白いーーこれ以上の贅沢が考えられるだろうか? 単に鳥類学の普及が目的というだけであれば、ここまで面白くする必要はなかったはずだ。著者の川上和人氏は、森林総合研究所で研究に勤しむ鳥類学者。以前『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』をHONZでもしつこいく

    『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』受け身であること、それは最高のエンターテイメントである - HONZ
  • 『消えゆく「限界大学」 私立大学定員割れの構造』差し迫る「2018年問題」、直前対策は? - HONZ

    2020年、東京オリンピックの開催の裏側で、大学入試センター試験の改革が着々と進んでいる。次の中学3年生が高校3年生になるタイミングであるから、もう間近である。高校も大学も塾も、その準備に追われてとても大変になることは想像に難くないが、その手前にも、大きな問題が来ることは随分前から囁かれていた。2018年問題である。 1992年に200万人を超えた18歳人口は、2008年に120万人台まで減り続け、その後横ばいで推移した。その安定期は2018年には終わりを告げる。2016年度の出生数は100万人を切っているため、おおよそ20万人が減ることになる。 これは大学経営に大きな衝撃を与えるだろう。大学進学率が現在の55%前後で変わらず推移すると仮定すれば、大学進学者は10万人以上減ることになり、入学定員500人の大学が200校以上消えてしまう計算なのだ。 事実として、この10年で廃止された大学は1

    『消えゆく「限界大学」 私立大学定員割れの構造』差し迫る「2018年問題」、直前対策は? - HONZ
  • 『失われた宗教を生きる人々 中東の秘教を求めて』 - HONZ

    書『Heirs to Forgotten Kingdoms』は、アラビア語とペルシア語を流暢に操り、イギリスおよび国連の外交官を務めた経験をもつ著者ジェラード・ラッセルが、中東の宗教的少数派のコミュニティを訪ねて旅し、現地の言葉で丁寧に話を聞きとって、現代に生きるその姿をまとめあげたものである。 1997年、駆け出しの外交官だった著者は、エジプトに配属されてアラビア語を学んでいた。著者はカトリック教徒で、祈る時にもアラビア語を使えば上達するのではないかと思い、エジプトのキリスト教会であるコプト教会に通い始めた。これが著者と宗教的少数派の初めての出会いだったという。聖テレーズ教会というその教会は、キリスト教徒だけでなく、地元のユダヤ人やムスリムからも愛されていた。そこには、イスラーム教と他の宗教との確かな共存の形があった。 中東といえばイスラーム教一色だと思いがちだが、実は中東は多様な宗教

    『失われた宗教を生きる人々 中東の秘教を求めて』 - HONZ
  • 『最古の文字なのか?  氷河期の洞窟に残された32の記号の謎を解く』 - HONZ

    書は『最古の文字なのか?』がメインタイトルで、サブタイトルが「氷河期の洞窟に残された32の記号の謎を解く」。一瞬、メインとサブが逆なのではないかと思ったほどであるが、これこそがまさに「名は体を表す」であった。 洞窟に入って壁画を見れば、誰だって巨大な牛やウマの絵に目が向くことだろう。たしかに絵のような芸術品は、太古の人々の生活を具体的なイメージとして捉えることができ、見ているだけで時間を忘れさせてくれる。 しかし、書の著者ジェネビーブ・ボン・ペッツィンガーの着眼はひと味違った。岩絵の脇に描かれた小さな幾何学記号の模様、そこへ注目したのだ。多くの人にとって見落とされがちな幾何学記号の集積が、やがて壮大なミステリーのように雄弁に語りかけてくることになるから、コミュニケーションとは奥が深い。 塵が積もれば山となるように、無意味も積もれば意味をなす。著者は、ヨーロッパ中の氷河期の遺跡を這いずり

    『最古の文字なのか?  氷河期の洞窟に残された32の記号の謎を解く』 - HONZ
  • 「深海生物テヅルモヅルの謎を追え!系統分類から進化を探る」 分類学に心酔した男の圧倒的成長に迫る - HONZ

    「テヅルモヅル」という生物をご存知だろうか。体の中心から五の腕を伸ばし、その各々の腕を枝分かれさせ、まるで触手のようにうねうねと動かしながら海水中のプランクトンを捕獲し、それらを栄養源として生息している動物だ。腕を広げると、大きなものでは1メートルを超える圧倒的な存在感を持つモヅルもいるようだ.その様子にちなんで、一部の種は学名にギリシャ神話の「ゴルゴン」を冠している。見た目・形ともに異彩を放つこのテヅルモヅルだが、研究者の数が限られていることもあり、未だ生殖発生や生活史などの基的な生態すら明らかにされていない。 書は、そんな謎多きテヅルモヅルを研究する茨城大学の岡西政典助教が綴る研究日誌である。珍しい生き物の研究者と聞くと、中高生時代からマニアックな知識を持ちピンポイントで研究室を選んだ人というイメージを持つかもしれないが、著者はそうではなかった。大学初年度はバイトとサークルに明け

    「深海生物テヅルモヅルの謎を追え!系統分類から進化を探る」 分類学に心酔した男の圧倒的成長に迫る - HONZ
  • 剣のように強い力を持った本の記録──『戦地の図書館 (海を越えた一億四千万冊)』 - HONZ

    紀元前から人類は図書館と共にあったが、それは場所が戦地にあってもかわらない。人はいかなる時であっても──というよりかは、過酷な状況にあってこそ書籍を求めるのかもしれない。 書『戦地の図書館 (海を越えた一億四千万冊)』は「第二次世界大戦時に、強いストレスに押しつぶされそうになっている兵士たちの心を癒やすため、海を渡って兵隊らに行き渡った書籍」についての歴史である。この運動は市民や図書館といった多くの人の手によって集められたに加え、兵隊が持ち運びをしやすいように、兵士専用にあつらえられた兵隊文庫がつくられることでの形態も変化させていった。それは後の出版文化にも大きな影響を与えていくことになる。 また、そうした一連の運動は、1933年からドイツで行われていた非ドイツ的なものを排除する思想統制の目的にて行われた政府公認の焚書(最終的にはこの焚書によって1億冊以上が塵となったという。)にたい

    剣のように強い力を持った本の記録──『戦地の図書館 (海を越えた一億四千万冊)』 - HONZ
  • 『メソポタミアとインダスのあいだ 知られざる海洋の古代文明』 - HONZ

    僕が歴史を好きになったのは、間違いなく中央公論社の「世界の歴史(旧版、16巻+別巻)」を読んだことがきっかけだった。世界最古の文明、シュメールから始まる悠久の物語に中学生の胸が高鳴ったことをよく覚えている。書は、農産物こそ豊富だったが木材、石材、金属などの必要物資に欠けていたメソポタミアになぜ世界最古の文明が誕生したのか、その秘密を交易ネットワークから解き明かした野心作である。 「四大文明」は「御三家」や「七福神」のようなもので教育者による思いつきに過ぎない、との挑戦的なゴングが鳴る。過去の研究の多くは、古代文明の起源を、灌漑農耕による生産性の飛躍的な向上、余剰の蓄積、労働力の集中と社会的・政治的ヒエラルキーの確立などの面から説明してきたが、何ゆえ文明がこの地に興らざるを得なかったのかという必然性を説明していない、と著者は指摘する。 そして交易を生業とした非農耕文明に目を向ける。メソポタ

    『メソポタミアとインダスのあいだ 知られざる海洋の古代文明』 - HONZ
  • 『人類を変えた素晴らしき10の材料』鋼鉄・ガラス・グラファイト、すべての材料は材料からできている - HONZ

    たとえば宇宙、あるいは深海、もしくは辺境。人類は未知の世界に魅了され、フロンティアを切り開いてきた。だが我々の日常には、もはや冒険すべきフロンティアは残されていないのだろうか。 材料科学という研究に従事してきた著者は、マンションの屋上から見えるありふれた風景を材料という視点から見つめ直すことにより、既知の世界をフロンティアへと変える。 文明とは煎じ詰めれば材料の集合体であり、万物は数々の材料から形づくられる。書では鋼鉄やチョコレート、ガラスからインプラントまで10種類の材料を取り上げ、人間スケールの世界から微細なスケールの内なる宇宙へと旅立っていく。 根底にあるのは、「すべての材料は、材料からできている」というシンプルな事実である。は紙から出来ており、その紙はセルロース繊維から出来ており、さらにセルロース繊維は原子から構成される。 それぞれの詳細を観察するために、描かれる対象は人間スケ

    『人類を変えた素晴らしき10の材料』鋼鉄・ガラス・グラファイト、すべての材料は材料からできている - HONZ
  • 『印刷という革命 ルネサンスの本と日常生活』初期近代印刷文化の興亡と万有書誌の夢 - HONZ

    ここに翻訳をお届けする『印刷という革命──ルネサンスのと日常生活』は、西欧印刷史の泰斗アンドルー・ペティグリーが満を持して2010年に世に問うた、実にスリリングな初期近代メディア文化史の傑作である。 原著で400ページを超えるその浩瀚なヴォリュームと射程の広さ、扱うトピックの目くるめく多様性にもかかわらず、原題は『ルネサンスにおける』(The Book in the Renaissance)と意外なほどシンプルで、そのややもするとぶっきらぼうにも見える骨太な表題のうちに、著者の自信のほどがうかがえる魅惑の一冊だ。邦題の選定にあたっては、そのあたりの含みをうまく伝えられないものかと苦心したが、結局は書の内容を要約した『印刷という革命』に落ち着いた。 ペティグリーは現在、イギリスのセント・アンドルーズ大学歴史学講座で教鞭をとる気鋭

    『印刷という革命 ルネサンスの本と日常生活』初期近代印刷文化の興亡と万有書誌の夢 - HONZ
  • 『本を読むときに何が起きているのか ー ことばとビジュアルの間、目と頭の間』知ってるけど、知らなかった。 - HONZ

    を読むときに何が起きているのか ー ことばとビジュアルの間、目と頭の間』知ってるけど、知らなかった。 あなたは今この文章を読んでいる。 あるいは、こんな冒頭に書かれている文章はすっ飛ばして先に重要な・核心的な部分だけ読もうと、はなから無視しているかもしれない。はたまた、たしかに目に情報を入れてはいるものの、文章が脳の中で意味を結ぶ前に先へ先へと進もうとしているかもしれない。かように、「文章を読む」とひと言でいっても、そのアプローチの仕方は人それぞれまったく異なってくるものだ。じっくりと読む人もいれば、ぱっとみて読み飛ばす場所を判断する人もいる。 文章を読む、殆どの場合そんなことは問題にはならない。ただ書いてある文章を読み、その意味するところを理解していけばいいのだと。だが当にそれだけだろうか──、「読む」というのは、もっと多様で、人それぞれ違った過程を歩むものなのではないだろうか。そ

    『本を読むときに何が起きているのか ー ことばとビジュアルの間、目と頭の間』知ってるけど、知らなかった。 - HONZ
  • 『超ひも理論をパパに習ってみた』 - HONZ

    「シャープペンシルを使って文字を書くためにはどんな力が必要ですか?」と質問されたら、あなたはどのように答えるだろうか。 シャープペンシルを持って動かすための筋力、芯が紙を滑ることで作られた黒鉛の粉を紙の繊維のなかに残すのだから摩擦力、文字を書くのだから思考力も必要だ、などと答えるのではなかろうか。 しかし、世界中の物理学者に同じ質問をすると全員から同じ答えが返ってくるはずだ。それは電磁気力である。物理学者たちにとって力は4種類しかないからだ。重力、電磁気力、弱い力、強い力である。 筋力も摩擦力も脳の働きもすべて 電磁気力が引き起こした現象である。いろいろな原子をまとめて水やタンパク質などの分子を形作るのは電磁気力だし、その分子同士がどう結合し動くかも電磁気力によって決められる。それでは他の3つの力は何を意味しているのだろう。 重力については説明する必要はないだろう。宇宙で無重力状態を体験す

    『超ひも理論をパパに習ってみた』 - HONZ