[ 研究の背景] 現代の高速情報処理はシリコンベースの高集積回路に依存しています。しかし、これ以上高集積化が進行し、絶縁体の幅が数原子層レベルにまで到達すると、電子のしみ出しによって熱やエラーが発生します。最新のナノテクノロジー(注1)を用いたとしても、電荷を情報の担い手(担体)として用いる限り、この問題点を避けることはできません。大森グループでは、これを解決するためには、電気的に中性な物質の量子力学的な波(波動関数)を情報担体として使えば良いことに着目しました。フェムト秒(注2)レーザーパルスは多数の波動関数に同時にアクセスすることで、100万通り以上の異なった情報をオングストローム(注2)サイズの1個の分子に入力することができます。この情報密度は、2020年までに計画されている最高性能のDRAM(注3)の100倍以上に達するものです。分子の波動関数を使ったコンピューターは、情報処理技