私はこれまで、フィールドワークとして900人近いビジネスパーソンにインタビューをしてきた。勤務先も職業も役職も多種多様。年齢は40代、50代を中心に、下は18歳から上は95歳まで。目的は自分の研究活動やコラム、講演会などに現場の目線を生かすためで、現在も続けている。 冒頭の声はその中の一人、原田明夫さん(仮名、40代)だ。原田さんは、就職氷河期の厳しい就活戦線を乗り越え、大手化粧品会社に正社員として就職した。母校である都内の某私立大学の同級生の中には、就職浪人したり契約社員になったりした人も少なくなかったという。 いち早く内定をつかんだ原田さんは、「自分さえ頑張れば、時代は関係ない」と確信し、配属先の営業部でも仕事に没頭した。43歳の時には先輩を追い越して課長に昇進。順調にいけば、数年後には部長昇進が確実だった。 ところが、40代後半に差し掛かって直面した今回のコロナ禍で事態が急変。社内の