瀬戸内海の景勝地「鞆(とも)の浦」(広島県福山市)の埋め立て架橋事業をめぐり、反対派の住民らが事業によって歴史的景観が損なわれるとして、知事の埋め立て免許差し止めを求めた訴訟の判決が1日、広島地裁であり、能勢顕男裁判長は住民側の請求を認め、差し止めを命じた。 鞆の浦は万葉集にも詠まれ、昨夏大ヒットしたアニメ映画「崖(がけ)の上のポニョ」の舞台ともされる。事業は県と市が計画。住民側は事業が進められれば、良好な景観がもたらす「景観利益」が損なわれるなどと訴えていた。 ◇■鞆(とも)の浦埋め立て架橋 広島県と福山市が交通渋滞解消や下水道整備のため昭和58(1983)年に計画策定。港の一部約2ヘクタールを埋め立て、約180メートルの橋を架ける事業で、排水権者の全員同意が得られずにいったん凍結された。推進派の現市長が平成19(2007)年1月測量に着手し、反対派住民は免許