岡山大学病院は2日、肺がん患者の右肺を体外に取り出し、がんの部分を切り取った後で、肺を体内に戻す自家移植手術に成功したと発表した。肺移植の経験を生かした肺の保存技術を応用することで、より安全に手術ができたとしている。 同病院によると、患者は広島県の60代男性。がんが進行していて、通常の手術では右肺全部を摘出する必要があると診断された。しかし、右肺は肺活量の約55%を占めるため、摘出すると呼吸不全になり、日常生活に支障が出ることが多いという。 今回の手術は、右肺を取り出し、移植で使う特殊な保存液を注入して冷却保存しながら詳しく検査。がん細胞が見つからなかった肺の下部を切り離し、約2時間後に体にもう一度つないだ。肺の一部を戻したことで全肺活量の約70%が確保された。 男性の回復は早く、6月中旬の手術から約半月後に退院した。今後は社会復帰はもちろん、ゴルフやジョギングなど軽い運動をすること