JILPT主任研究員 石井 徹 「キャリア教育と進路指導はどこが違うのですか」という質問を学校の教師からしばしばたずねられる。私は「ほとんど同じではないですか」と答えている。 学校では、進路について学ぶことを進路学習と呼んでいる。これをしっかりやらせることがキャリア教育であり進路指導である。これではなにも変わらないのではないかといわれそうである。そこでここ数年急に浮上してきた「キャリア教育」という言葉について、その背景や含意を考えてみたい。 キャリアカウンセリングの重視 背景としては近年、我が国で若年者のフリーターや不登校、学校中退の問題、さらにはニートへの対策としてキャリア教育が問われるようになってきたことがある。これは、学校に責任があるかのように思われがちであるが、仕事やキャリアの支援は学校だけでなく、家庭や地域、企業、社会が分担しなければならない問題である。 こうした若者の問題に対応