化学分子を利用し、狙った特定のタンパク質だけに目印を付ける新たな手法を、京都大学工学研究科の浜地格(いたる)教授(生命化学)らの研究チームが開発し、研究成果が30日発行の英科学誌「ネイチャー・ケミカル・バイオロジー」に掲載された。 タンパク質の標識化は、昨年ノーベル化学賞を受賞した下村脩・ボストン大名誉教授が発見したオワンクラゲの蛍光タンパク質による手法が一般的だが、遺伝子操作が必要なため、タンパク質本来の姿が変えられる可能性が指摘されていた。今回の手法では、遺伝子操作なしにタンパク質を光らせることができ、異常タンパク質の検出による病気の診断や、創薬開発への応用が期待できるという。 開発されたのは「化学プローブ」と呼ばれる数ナノメートルサイズの化学分子。標的タンパク質の凹部に入り込む「リガンド」という部分と、アミノ酸と化学結合する「トシル結合」と呼ばれる化学物質、蛍光色素などの標識部分の3