こちらはJBpress Premium会員(有料会員)限定のコンテンツです。 有料会員登録(月額 550円[税込]、最初の月は無料)をしてお読みください。 Premium会員登録する 月額 550円[税込]・初月無料
9月24日、科学雑誌Natureが3本の記事を載せた。このうち2本は昨年、日本を騒がせたSTAP細胞の論文(以下、STAP論文)に関する“反論”で、残りの1つは総説だ。3本はそれぞれ独立した記事だが、互いに関連している。 いずれもSTAP細胞の騒動に、科学界としての決着をつける記事だ。しかし、まだいくつかの疑問は残る。それは、Nature誌自身の役回りについてだ。 今回Nature誌に載った記事を紹介する前に、STAP論文とそれをめぐる不正告発の経緯を簡単におさらいしよう。すでによく知っているという方は、「すでに撤回された論文への反論」から読んでいただきたい。 画期的だったSTAP細胞 2014年1月末にNature誌に掲載されたSTAP論文は、身体中のすべての細胞だけでなく、胎盤にも分化することのできる細胞に関するものだった。赤ちゃんマウスの細胞を弱酸性の液に30分ほど浸けるなどの簡単な
そして、東京大学大学院経済学研究科の松井彰彦教授の「社会的障害の経済理論・実証研究」のプロジェクトメンバーとして、長期療養者の当事者研究をさせていただいています。 「長期療養者の当事者」というのは、私が「肉腫(サルコーマ)」という希少がんに罹患してから10年が経ち、その間に、19度の手術、5度の放射線治療を経験し、そして現在、初めての抗がん剤治療を受けているからです。 ここで、がん患者の長期療養者の当事者からの意見を述べさせていただきたいと思います。 都営地下鉄駅でもらえるヘルプマーク 「そのマークはどこで手に入れることができるのですか?」 勤務先である東京大学医科学研究所の最寄りの駅に降り立った時に、初老の女性に突然後ろから声をかけられました。 「これは東京都が配布しているもので、都営地下鉄の駅務室に行けばもらえますよ」 いきなりのことに少し驚きながらも、私はそう答えました。 ここで言う
奇跡的な成功や偉業を成し遂げた人が、自らの経験をもとに成功のノウハウを開示する。そうした成功体験記の書籍や読み物は枚挙にいとまがない。 しかし、それを読んだ人が同じことをやっても、うまくいくとは限らない。なぜなら、たまたまうまくいっただけかもしれないし、極めて特殊な、恵まれた環境のおかげなのかもしれないからだ。 教育分野においても、個人の成功体験記は数多く見受けられる。ビリギャルしかり、子供を全員東大に入れたという親の子育て術しかりだ。だが、『「学力」の経済学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者、中室牧子氏(慶応義塾大学総合政策学部准教授)は、そうした“例外的”な個人の成功体験記が注目され、ありがたがられる風潮に釘をさす。
先日、中国人の旧友に北京で会った。友人は日本の大学に学び、その後15年ほど日本で働いていたが、現在は中国に戻って北京にある会社の取締役になった。順風満帆、あとは結婚するだけかと思ったが、中国ではエリートほど結婚には二の足を踏むというのだ。一体どういうことなのか。彼が語った当世、中国の結婚事情とは。 出世するほど結婚が怖くなる ――取締役就任おめでとう! 「ありがとう。中国に戻ってから2度目の職場だよ。最初は別の会社に勤めていた。その後、ヘッドハンテングされて今の会社に移ったんだが、社長に気に入られてこのポジションに抜擢されたのさ」 ――40代で取締役とは、スピード出世だね。 「中国の40代は人材不足。現在の大学進学率は日本以上になっているけど、20年ほど前は低かったから大卒が少なかった。それに、中国の教育は日本以上に暗記が中心。体制と矛盾するようなことを教えてはいけないから、批判精神が生れ
対照的に、アフリカ南部の6000頭ものライオンは、裕福な観光客の狩りの対象となる目的で、捕獲状態に置かれて飼育されている。 世界中の怒りを買った後に姿を隠した米ミネソタ州の歯科医、ウォルター・パーマー氏によるセシル射殺は、アフリカ南部の猛獣狩りにスポットライトを当てた。 米国に本拠を置くワイルドエイドのピーター・ナイツ専務理事によれば、同産業は推定で年間10億ドル前後の価値があるという。 セシルはジンバブエの動物保護区から違法におびき出されたとされる。セシルの死を巡っては、2人の男が逮捕されており、ジンバブエの裁判所で密猟の罪に問われる可能性がある。 一方、パーマー氏は自分が法律を破っていることを知らなかったと主張している。それでも、モザンビークやナミビア、タンザニアと並び、ジンバブエの一部でも狩りは合法だ。 金持ちの狩猟のために飼育されるライオン 一方、南アフリカ共和国には、南アに来て、
5月21日、都内で「本格始動するデータヘルス計画、その意義と展望 医療ビッグデータで実現する健康経営」(アイ・エム・エス・ジャパン主催)というセミナーが開催された。登壇した東北大学大学院医学系研究科公衆衛生分野の辻一郎教授が問いかける。 答えは喫煙だという。2000年から2011年にかけて、日本の成人男性の喫煙率は47.4%から32.2%へ、女性は11.5%から8.4%へと減少した。この約半世紀、日本人の喫煙率は一貫して減る傾向にあるが、最近になって減少に拍車がかかっている。 社会環境をつくると個人の健康が増進する なぜ喫煙率が大きく減ってきたのか。その最大の理由は、「社会全体の環境を変えていったから」である。
フランスでは、夏季休暇は「les grandes vacances(大バカンス)」として知られている。 フランス人労働者にとっては年間2カ月の休暇が標準であることを考えると、それも意外ではないはずだ。 フランス人は手厚い年間休暇手当を享受するだけでなく、企業は年間休暇のうち12日を1度に連続で与えることを法的に義務づけられている。 フランス電力公社の驚きの長期休暇 フランス電力公社(EDF)では、大勢のスタッフがそれ以上に大規模な休暇を得ている。2000年に導入された週35時間労働制の結果として、また、EDFのスタッフの多くが週間所定労働時間を超えて働いていたために、多くの人が埋め合わせとして年間10週間の休暇を得ることになった。 EDFは今、この慣行を抑制しようとしており、3万人の従業員に対し、休暇の日数を27日間に減らす見返りに一時金支給ないし昇給を提案している。 EDFの過度に甘やか
年配のギリシャ人にとって、アレクシス・チプラス新首相と同氏の率いる左派政権のメンバーがドイツに対して放つ辛辣な言葉は聞き覚えのあるものだ。 雄弁家で米国仕込みの経済学者、故アンドレアス・パパンドレウ氏*1が全ギリシャ社会主義運動(PASOK)を率いて1981年に総選挙で圧勝して政権の座に就いた時、チプラス氏はようやく小学校に上がったばかりだった。 反欧米感情を巧みに利用したパパンドレウ元首相 パパンドレウ氏は、ギリシャ人が抱いていた強い反欧米感情を巧みに利用し、ギリシャを北大西洋条約機構(NATO)から脱退させると公約した。多くの人は当時、1974年にトルコが行ったキプロスへの軍事介入を防げなかったことでNATOを非難していた。 パパンドレウ氏は米国政府に狙いを定め、自身の政府はギリシャ各地の4つの米軍基地を閉鎖すると宣言した。これは、1967~74年のギリシャ軍事独裁政権への米国の支援に
将来、2014年という年を回顧することがあれば、それはウクライナ紛争の年と年表には太字で書かれることになるのだろう。 ウクライナとクリミア、この2つの土地の組み合わせは8年間の準備期間と5兆円というオリンピック史上最大の投資額により、本来ならロシア史でも大イベントとして大きく取り扱われるはずであったソチ五輪を軽々と吹き飛ばしてしまった。 たった1年ほど前に始まったこの紛争が、21世紀の世界に与えた影響、なかんずくBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の一角にあって、ソチオリンピックの実現でそのピークを迎えようとしていた新興ロシアから多くの可能性を奪ってしまった悔しさは、一外国人である私にもはっきり感じることができる。 筆者はモスクワでこの紛争を肌身に感じながら、ロシアと外界世界とがボタンをかけ違えてしまった状態、ロシアが必要以上に西側世界から敵視されるに至る状態に違和感を持ち続けてい
ことの発端は、マカダミアナッツだ。 そう、あのハワイでみんなが買い漁る美味しいナッツ。だが別にナッツが悪いわけではない。 12月5日午前0時50分、大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョンア)副社長(以下、副社長)は、米国のニューヨークJFK空港から韓国のソウル仁川空港に飛ぶKE086便(エアバスA380型機)のファーストクラスに乗っていた。 飛行機は離陸準備を終え、滑走路に向かっていくなか、ファーストクラスではマカダミアナッツが配られていた。 副社長のところにやって来た客室乗務員(以下CA)はマカダミアナッツを袋ごと彼女に差し出した。 この行為に対し、副社長は「機内サービスがなっていない」と激怒し、CAに降りろと指示した。 チーフパーサー(以下CP)が騒ぎを聞きつけやって来て、CAはマニュアル通りにやったとかばったため、ではそのマニュアルを見せろということになった。
そこから、色々なことを”私なりに”理解したのであるが、この連載の第1回で書いた「クメール語が理解できなくても、彼らが創った映像を見れば、彼らが大体どんな道筋で物事を理解し、どう考えているのか、少なくともどんな風に考えるように教育されてきたかが想像できる」というのを、まとめてみるとこんなことになるのだと思う。 1.上意下達のカンボジア社会にあって、社会的地位の高い人から認められることは一番の名誉である。だからカンボジアのテレビニュースには、常に儀式・式典映像ばかりが並んでしまう(通常、日本のテレビマンは、「儀式・式典の映像ほど絵にならないものなない」と言って避ける傾向にある)。 2.出版文化や出版物そのものが破壊されてしまったために、物語を構築するのが難しい。 3.映像表現に客観と主観があることが理解できないため、曖昧な映像で表現しようとする。また、自分の主観的興味に素直なので、対象物ばかり
米IDCが公表した最新のリポートによると、今年1年間におけるタブレット端末の世界出荷台数は2億3570万台となり、昨年に比べて7.2%の増加にとどまる見通しだ。 タブレット端末の昨年の前年比伸び率は52.5%と高い水準で推移していたが、今年は成長が大幅に減速するという。その主な要因は米アップルの「アイパッド(iPad)」。 IDCの推計によると、アイパッドの今年の出荷台数は6490万台で、昨年実績から12.7%減少する見通し。アイパッドの出荷台数は初めて年間を通して前年割れになるという。 IDCによると、アイパッドやアンドロイド搭載端末など、タブレット端末全体に言えることは、その買い替え周期が延びていること。 タブレットが市場投入された当初考えられていた買い替え周期はスマートフォンと同様の2~3年だった。だが、実際には多くの人が端末を3年以上持ち続けており、4年以上使い続ける人も少なくない
(2014年11月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) かつてないほど高い超高層ビルを建設する競争がエレベーターメーカー同士の戦いに火をつけた。分速4000フィート(約1.2キロ)という記録破りのスピードの次世代エレベーターを開発する戦いだ。 三菱、日立、東芝をはじめとするエレベーターメーカー各社はビルの高層化についていくために、エレベーターがかつてない速度でかつてない高さまで人を運べるようにする新型モーターやハイテク気圧制御システムを使い、大きな技術的進化を遂げることを迫られた。 東芝の世界最速エレベーター、向う2年で三菱と日立が新記録更新へ この10年間、台湾の超高層オフィスビル「台北101」で使われている東芝のエレベーターが秒速16.8メートルのスピードで世界最速エレベーターのタイトルを保持してきた。 だが、向う2年間で、この最速記録は2度破られることになる。日本の競合企業の三菱は
SFの世界では以前から、レーザー光線が、刀になったり敵の宇宙船を撃破したりと大活躍をしている。しかしこれまでは、大気中の減衰のためレーザー光線によるエネルギーの遠距離伝達は極めて困難であり、まだまだ兵器としての実用化には程遠いものと考えられてきた。 しかし最新の技術情報によれば、ポーランドで遠距離到達も可能な極めて高出力のレーザー衝撃波を生成することを可能にする技術突破がなされた。それは将来、兵器として実戦配備されれば、空中を飛翔するミサイル、砲弾などを照射し破壊することが可能になることを意味している。 その結果戦争様相は一変し、また第2次大戦中から実用化され核兵器の運搬手段として阻止困難とみられてきた、弾道ミサイルの撃墜すら可能になるであろう。そうなれば、これまでの核大国の抑止力は意味を失い、国際秩序もまた大きく変化することになる。 1 これまでの高出力レーザー技術の水準 高出力を得るた
英スコットランド・アバディーンの街頭で、英国からの独立を問う住民投票で賛成票を投じるよう呼び掛ける旗を振る女の子〔AFPBB News〕 筆者は最近まで、スコットランドが独立に賛成票を投じても、あまり気にしないと思っていた。ところが今、独立の可能性が現実味を帯びるに従い、自分がひどく動揺していることに驚かされている。 今では、世論調査を執拗に注視している。独立に反対する「ノー」陣営の無能さと、「イエス」陣営の視野の狭さに憤りを覚えている。そして、投票日が近づくにつれて、嫌な予感が強くなっていく。 なぜそんな気分になるのか? その答えは、独立の是非を問うスコットランドの住民投票によって、自分の抱くアイデンティティーと個人的な安心感が英国人としての国籍といかに強く結びついているか気づかされたからだ。 一方、国際情勢をカバーする筆者の仕事は、世界が過去数十年間なかったほど危険な状態にあることを教
韓国の反日は安倍政権以前から 野田佳彦前首相が自身のブログ「かわら版」(8月18日)で冷え込んだ日韓関係について、興味深い発言をしている。 それによると2013年秋、日韓関係の立て直しについて、「日韓の有識者による会合が密かに開催」されたそうだ。この会合で「韓国側出席者は異口同音に日韓関係の冷え込みは、日本の右傾化が原因である」と指摘したそうである。日本の右傾化というのが、安倍政権のことを指していることは明らかだ。 これに対し野田氏は、時系列的に事実関係を詳細に語って反論したそうである。 まず2011年10月の訪韓の際、当時の李明博大統領は、「歴代の韓国大統領は就任直後は未来志向の日韓関係を唱えるが、任期後半になると反日カードを使いながら支持率を上げようとしてきた。私はそういうことをしたくない」と、きっぱりと明言したこと。 ところが直後の12月に京都で開催された日韓首脳会談では、李大統領は
2014年4~5月、福島第一原発事故に関する取材のためにアメリカ各地を回った。今回から数回に分けて、その報告を書く。その最初は、首都ワシントンにある国立がん研究所(National Cancer Institute = NCI)に勤務する疫学者であるモーリーン・ハッチ博士のインタビューである。 私がハッチ博士の名前を知ったのは、スリーマイル島原発事故の取材で疫学調査の文献を読んでいたときだった。当時のコロンビア大学の調査チームの責任者がハッチ博士だった。博士が書いた論文を続けて読んで興味深く思ったのは、その後博士がチェルノブイリ原発事故の疫学調査にも参加していたことだ。つまりハッチ博士は、世界で3例しかない原発事故のうち2例の調査をしたことがあるという世界でもほぼただ1人の疫学者なのである。そして福島第一原発事故の疫学ワークショップのために来日したこともある。フクシマについての情報も知って
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く