バブルや恐慌が生じるメカニズム イェール大学の教授でロバート・J・シラーという人がいます。米国の一戸建て住宅の再販売価格動向を示す指数である「ケース・シラー指数」を作った人ですが、そのシラー教授が最近『ナラティブ経済学』(東洋経済新報社)という本を書きました。 「ナラティブ」というのは「物語」という意味で、シラー氏は著書の中で「ある社会、時代などについての、説明や正当化を行う記述のための物語や表象」と表現しています。 少し表現が難しいのですが、簡単にいえば、「バブル」とか「恐慌」といった経済的な現象の多くは、人々がある物語を信じ、それが広く世の中で信じられていくことで起こるということを表しています。 老後不安という日本における最大の物語 たとえば、2000年頃に起こった「ドットコムバブル」(日本ではITバブルといわれていました)の頃は、IT技術の進歩で、関連する銘柄はどこまでも上がると信じ
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