TVドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズや実写映画『銀魂』シリーズなどを手がけてきた福田雄一が監督と脚本を務め、「三国志」を題材に大泉洋を主演に迎えた『新解釈・三國志』。公開初週では、大ヒット爆進中の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』に次ぐ興行成績2位にランクインし、3週目でふたたび2位に浮上、5週目でも3位をキープするなど、コロナ禍でも好調な推移を見せていた。だが、その内容についてはかなり辛辣な意見が飛び交っていることも確かだ。ここでは、渦中にある本作『新解釈・三國志』を、三国志ファンでもある筆者が正面から批評していきたい。 “笑い”の限界 中国の天下が三つに分かれていく戦乱の三国時代。その史実を基に大衆的な娯楽物語としてまとめた『三国志演義』(1522年)は、数万、数十万の兵が陣を敷き広大な大地でぶつかり合い、豪傑同士が火花を散らす世界観や、知能に優れた軍師たちが権謀術数を駆使し騙し合いで天下