日本郵政グループの3社が4日、東京証券取引所に株式を上場する。140年余り続いた「官」の歴史を終え、多くの株主から「利益追求」を求められる上場会社に生まれ変わる。全国に広がる約2万4千の郵便局網を維持しながら、どう利益を増やしていくかが課題だが、道筋と将来像は描き切れていない。 霊峰・高野山近くの山あいに開けた奈良県野迫川(のせがわ)村は、人口500人足らず。野迫川郵便局は唯一の金融機関で、ATMもここにしかない。近くに住む南谷跡子さん(49)は「お金をおろしたり、子どもへの仕送りを振りこんだりしに週1、2回は来る。郵便局がないと、ここでは暮らせない」。銀行がある駅近くの街には、車で山道を30分ほど走らないと行けない。 村に郵便局ができたのは1882(明治15)年。過疎が進み、いまでは1日の利用者は20人ほどに落ちこんでいる。竹村明彦局長(56)は「黒字化するのは極めて難しい」と話す。 総