厚生労働省の審議会の要職を歴任した国立社会保障・人口問題研究所の京極高宣所長(67)=社会福祉学=が2003年に出版した著作集の論文で、他人の論文を大幅に引き写した部分があることが、朝日新聞の調べでわかった。もとの論文を書いた国会図書館元調査員は「私が書いたものと同じ内容。出典の明示がなく引用されており、盗用だと思う」と指摘している。 さらに、京極氏がこの論文を、国の補助金などが支給された研究事業の報告書に使い回していたことも判明。いずれも研究倫理に反する行為とされる。京極氏は介護保険制度や障害者自立支援法の立案を手がけ、社会福祉の権威と評価されている。 京極氏の著作集は全10巻。問題となったのは、03年3月出版の第6巻に収録された「海外の社会福祉」と題した論文だ。京極氏が1986〜87年、社会福祉・医療事業団(当時)の広報誌で、欧米5カ国と日本との社会福祉の比較をテーマに連載した内容