世間を騒がせた「腐る建築」とは しばらく前のことだが、「腐る建築」というワードがSNS上で話題になり、TVニュースを賑わす事態になった。普段の日常なら生鮮食品などの腐敗で耳にする「腐る」という言葉と、鉄やコンクリートで建てられる強固なイメージのある「建築」という言葉の、互いに似つかわしくない言葉の取り合わせは、多くの人々に衝撃を与えた。 それは、本当に建物の屋根や壁が腐ってこぼれ落ちている映像が流されていたからである。その姿は、まるで住民のいなくなった村や閉鎖された鉱山に放置された廃屋の老朽化のような光景で、これがまだ20年ほどしか経過していないという事実。それが公共の美術館で、実際に栃木県那珂川町にある「那珂川町馬頭広重美術館」だという事実にも皆、驚かされた。
