全国医師連盟の試案において,刑事訴訟法上の証拠法則への配慮が足りないのは仕方がない面があります。彼ら自身は法律の素人ですし,彼らには,まともに法的なアドバイスをするブレーンがいないわけですから(1000人の会員が1万円ずつ出し合えば合計1000万円になりますから,それなりに法的システムを作り上げることの出来る能力のある弁護士に素案作りを依頼できるとは思いますが。)。 ただ,医師の刑事責任を追及するか否かを定める重要な役割を「医療安全調査委員会」に負わせようというのに,そのメンバーを現役医師に限定してしまおうとするあたり,政治性又は社会性に欠けているといわざるを得ません。普通,この種の組織は,責任追及の可否が問われる集団外のメンバーを広く入れることにより,公平性ないし中立性があることを示そうとするものです。 さらにいえば,責任を逃れたいばかりに嘘をついているかもしれない相手から事情聴取を行う